オンプレミスとは自社の中で情報システムを保有し、自社内の設備によって運用することを指します。現在、クラウドサービスなど外部サーバーを使用することが一般化してきており、それらと区別するため従来の自社運用をオンプレミスと呼ぶようになりました。

目次
オンプレミス(on-premises)とは
もともとpremises(複数形)には、建物や構内などといったの意味があります。
それを由来として、「オンプレミス」という情報システムに関するキーワードができ、自社内で各種サーバーや通信回線、そして付随するサービスなどを揃えて、運用する内容を示すようになりました。

オンプレミスとクラウドとの比較はあとから解説しますが、クラウドと比べてオンプレミスは情報システムの投資がすでに完了していて、非公開または利用者限定のサービスなどが想定されます。具体的には以下のようなシステムです。
- 自社やグループ企業内でのみ使用する業務システム
- 機密情報や個人情報などを扱うシステム
- メールサーバーとその関連システム
- 社内テレビ会議やWeb会議システム
おおよそ2007年くらいまでは、この「自社運用」の形態以外に自社用のサーバーや通信回線を設置する方法がなく、「オンプレミス」が一般的な方法でした。
その後クラウドサービスなどが登場し、オンプレミスは「クラウド」との対比で、上記でもお伝えした通り、「自社の中で情報システムを保有し、自社内の設備によって運用すること」を指す言葉になりました。
なおクラウドのように「使いたいときに必要なだけ外部のシステムを利用する」意味を示す「オンデマンド」という言葉が、自社運用のオンプレミスの対義語として使われることもあります。
対となるクラウドとは
一方クラウド(cloud)とは、文字通りの意味では「雲」のことですが、IT分野では「インターネットなどのネットワーク経由で接続できるさまざまなサービス」のことを指しています。

一般的によく使われているところでは、GmailやYahoo!メールなどのウェブメール、Googleカレンダーなどのスケジューラーなどもクラウドサービスの例です。
それらは、「インターネットというネットワーク経由」で利用できるサービスだからです。
またクラウドとは、外部委託(アウトソーシング)が進化した概念とも言えるでしょう。
そのような意味では、1990年代後半より開始されたレンタルサーバ(ホスティングサーバ)にまで辿ることができます。厳密には時代背景や環境などは異なりますが、クラウドを理解する上では、重要な初期のステップと考えています。
オンプレミスとクラウドの違い
それでは、オンプレミスとクラウドの違いについて具体的にみていきます。
以下にそれぞれの項目毎の違いを簡単に表にしてみました。
オンプレミス | クラウド | |
---|---|---|
初期費用 | 高価 | 安価 |
月額費用 | 固定費 | 変動費 |
利用開始可能日 | 設備導入後 | 申し込み・決済後すぐ |
カスタマイズ | 自由 | 制限あり |
自社の他のシステムとの連携と運営 | 行いやすい | 制限あり |
自社からサーバーへの接続スピード | 高速 | 条件次第 |
情報セキュリティ | 情報源の特定容易 | 災害に強い |
障害対応の復旧時間 | 時間はかかるが障害内容が明確 | 短時間だが障害内容が不明瞭 |
災害復旧(Disaster Recovery) | 対策困難 | 比較的容易 |
冗長化(二重化) | 高費用化 | 容易 |
費用・契約面の差
オンプレミスはサーバー機器・ソフトウェアライセンス・回線・設定費用など数百万円以上かかり利用開始までの時間もかかりますが、月額は固定費で予算化がしやすいのが利点です。
クラウドはサーバー購入などを行わずすぐに利用を開始できますが、月額日は従量で変動し、長期プロジェクトでは割高になることもあります。
運営面
オンプレミスはカスタマイズや増強、連携が自由ですが、ハードウェアなどを自社で用意する必要があるため時間がかかります。
データセンターで自社設備を運用している場合も、オンプレミス同様に、増強・カスタマイズ・連携を自由に行えますが、やはりハードウェア準備などの対応が必要なので、対応には時間が必要となります。
一方クラウドの場合、予測に応じてプランやオプションを追加・変更するだけで即時的にカスタマイズができます。ただし、あくまで用意されたプラン・オプション内での変更なので、制約がある点は否めません。
災害への対応面
災害復旧の対応(ディザスタリカバリ)については、オンプレミスではサーバーなどのIT機器を設置する場所を遠隔地に手配するところから始めなければなりません。
クラウドでは、ディザスタリカバリ対策用に、「東日本」「西日本」のように機器が設置されてある場所が分散されているサービスもあります。そういったサービスを利用すれば対策は容易です。
接続スピードやセキュリティ、障害
オンプレミスはLAN接続のためスピードは速く、アクセス者の特定も容易ですが障害が起こると修理に時間がかかることが多いです。クラウドは回線接続でありオンプレミスよりスピードは遅く、情報セキュリティ面でも不安はありますが、障害に対しての復旧は短時間です。
※一般的な評価、要件や、実装レベルにより実際のシステムとは異なる場合があります。
オンプレミスからクラウドに移行する方法

オンプレミスからクラウドへ移行する方法の例として、以下のようなやり方をあげることができます。
オンプレミスのシステムをなるべくそのままの状態でクラウドへ移行する場合
クラウド上では、1台の物理的なサーバー上で、複数の仮想サーバーを運用する「仮想化」という技術が使われています。
仮想サーバーは物理サーバーのリソースを分割して、それぞれの仮想サーバーへ自由に割り当てて利用することが可能です。
オンプレミスのシステムをクラウドへうつす場合には、まずオンプレミスのサーバーを仮想化し、それをサーバーへ移行します。あわせてデータを、クラウド上へコピーすることが必要です。
ファイルサーバーを移行する場合
クラウド上のファイルサーバーをそのまま使うのであれば、オンプレミスのデータのみをクラウド上のファイルサーバーへコピーして利用するといった方法もあります。
業務アプリケーションをクラウドへ移行する場合
クラウド上でアプリケーションを再構築し、あとからデータのみクラウドへコピーするといった方法があります。
このなかでも、ファイルサーバーの移行の例は比較的簡単ですが、オンプレミスからクラウドへの移行にあたってはさまざまな注意点があげられます。以下、クラウド移行の際の注意点をまとめて解説します。
クラウドに移行するときの注意点
検討内容
- 機器や回線、ルールなどのセキュリティの対策レベルを専門家とともに決定する
- 必要なサービスは何か絞り込む(あれもこれもでは、月額利用料が膨らむ)
- データセンターの様子をチェックする(サーバーや回線がどのように守られているかなど)
どのようなサーバーを選ぶべきか
- セキュリティやサーバー負荷などの点で、「プライベート」な環境でクラウドプランが選択できる
- サービス提供者の保守体制の整ったプランにて提供されているサーバーか
- Webアクセスなど、ピーク時での対応が柔軟なプランか(CPU、メモリ・記憶媒体の種類などのスケールアップ)
オンプレミスとクラウドのハイブリッド利用?!

2019年現在、オンプレミスとクラウドが敵対している訳ではなく、共存し補完し合う関係と考えた方が自然です。
これがいわゆるハイブリッド(組み合わせ)な運用方法です。
ハイブリッドな利用が向いているのは、やはり大規模な組織に属すか、または膨大な顧客数を抱える下記のようなネットワークです。
- 組織の拡充に伴い、物理的な拠点が広範囲に点在する(日本全国、海外拠点)
- 利用する顧客数が膨大
- サーバーや回線機器などの自社所有の割合が高い
- 利用しているビジネスで、Webアクセスなど急激なピークがある
ご覧の通り、無理に「オンプレミスか、クラウドか?」と、どちらかに集中することが現実的ではない場合と言えるでしょう。
オンプレミスとクラウドの特性を見極め適切に選びましょう
案件毎に状況は大きく異なりますが、結論としては、やはりオンプレミスとクラウドの特性を見極め適切に選びたいものです。ときには、いいとこ取りのプランの選択も必要になるでしょう。
一例として、カゴヤ・ジャパンが提供する「FLEX」を利用して環境を構築すれば、安全にオンプレミス環境からクラウド環境に接続することができます。ご検討されてみてはいかがでしょうか。
オンプレミスとクラウドサーバーのハイブリッド構成が可能な KAGOYA FLEX
KAGOYA FLEX ならVMwareベースのクラウドサーバー(CPU: 2コア~/メモリー: 4GB~)が 10,450円~。自由なネットワーク構成でオンプレ環境や物理サーバーと組み合わせも可能で、段階的なクラウド化にもおすすめです。プライベートクラウド環境もパッケージ化して提供されているので、簡単に導入いただけます。