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メールがブラックリスト登録される原因と確認・解除方法

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メールのブラックリストの解説

メール配信などで突然多くの宛先にメールを送れなくなった場合は、IPアドレスやドメインのブラックリスト入りを疑いましょう。

ここではブラックリストの定義と種類、登録される原因、登録されているか否かの確認方法や解除方法、今後ブラックリストに登録されないための対策を解説しています。

メールにおけるブラックリストとは

メールのブラックリストとは、「迷惑メールの配信元」と判断されたIPアドレスやドメインのリストのことです。

企業のダイレクトメールなど悪意がないものでもブラックリストに登録されることはあり、ブラックリスト入りした場合は多くの宛先でメールが受信拒否されます。迷惑メールフォルダなどに入ることもなく、メールの到達率が大幅に低下します。

ブラックリストは2種類に大別される

メールのブラックリストは、以下のように2種類に大別されます。

1) 迷惑メール対策団体のブラックリスト
→ほぼ全ての宛先でメールが届かない

2) プロバイダーなどのブラックリスト
→特定ドメインの宛先のみメールが届かない

1) 迷惑メール対策団体のブラックリスト

一般に、メールのブラックリストと言えばこの「迷惑メール対策団体が作成しているリスト」を指します。「DNSBL(Domain Name System Black List)」や「RHSBL(Right Hand Side Black List)」とも呼ばれるリストです。

迷惑メールの撲滅を目的とした対策団体は複数あり、「危険度が高い」と判断したIPアドレスやドメインの情報について、それぞれウェブで公開しています。
世界中のメールサービスはこれらのブラックリストをもとにメールの受信拒否設定などを行っており、どの団体のリストに登録されてもメールの到達率は激減します。

2) プロバイダーなどのブラックリスト

GmailやYahoo!メールといったプロバイダー、携帯キャリアなどが独自で作成しているブラックリストもあります。このタイプのリストに登録されると、「Gmailの連絡先だけメールが届かない」など、特定のドメイン宛のメールのみが届かなくなります。

なお先述の通り、「ブラックリスト」と言えば一般には迷惑メール対策団体の作成しているリストを指します。プロバイダーなどが独自に作成するリストは「ブロックリスト」と呼ばれるなど、一般的なブラックリストと区別されることも多いです。

メールが届かないその他の原因は?

メールが「殆どの宛先に届かない」「特定のドメインの宛先のみ届かない」という場合は、ブラックリスト入りを疑うべきです。一方、ごく限られた宛先のみでメールが届かない場合は、以下のような原因が考えられます。

  • メールアドレスが間違っている
  • 添付ファイルの容量が大きすぎる
  • ブラックリスト入りはしていないが、迷惑メール扱いされている

また、この他にもメールサーバーの稼働停止や電波状況の悪さが原因でメールを送れない場合があります。こうした原因への対処法は、以下の記事で詳しく解説しています。

メールが届かない原因と解決方法を分かりやすく解説

メールが届かない原因と解決方法を分かりやすく解説

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ブラックリストの仕組みと代表的なサービス

ここでは迷惑メール対策団体のブラックリストが機能する仕組みと、代表的なブラックリストの公開サービスをご紹介します。

ブラックリストの仕組み

メールのブラックリストの仕組み図解

メールの受信サーバーは、送信サーバーからメールが送られてくると迷惑メール対策団体に「送信元IPアドレスがブラックリストに登録されているか否か」を問い合わせます。そして対策団体からの回答をもとに、サーバーごとのポリシーに従ってメールの処理方法を判断します。

先述の通り、対策団体のブラックリストに登録されている場合は高確率で受信拒否となります。

代表的なサービス(対策団体)

ブラックリストを公開しているサービスの中でも、以下の3つは認知度が高いです。特にSpamhausのブラックリストは非常に強力で、登録されれば「メールは殆ど届かなくなる」と言われています。

サービス名特徴
Spamhaus国際的なNPOである「The Spamhaus Project」が提供世界中の企業や政府機関が利用している
SpamCopアメリカの大手通信機器メーカーCisco Systemsが提供リスト公開の他に、ユーザーからの情報提供も随時受け付けている
MXToolBoxアメリカのMxToolBox社が提供リスト公開の他にも、様々なチェックツールを公開している

ブラックリスト登録される6つの原因

迷惑メール撲滅のために作成されているブラックリスト。しかし冒頭でご紹介したように、企業のメールマガジンなど悪意のないメール送信でも、ブラックリストに登録されてしまうことはあります。

ここでは、ブラックリスト入りに繋がりやすい6つの原因をご紹介します。

  • 原因①一度に大量のメールを送った
  • 原因②無効な宛先に何度もメールを送った
  • 原因③オプトインを得ていない宛先にメールを送った
  • 原因④スパムトラップにメールを送った
  • 原因⑤ウイルス感染などでメールが大量配信された
  • 原因⑥同じサーバーに迷惑メールの配信者がいた

原因①一度に大量のメールを送った

メールの大量送信は、スパマー(迷惑メールの送信者)と誤認されやすい行為です。なぜならスパマーは、個人情報の不正取得や被害拡大を狙ってメールを大量送信するのが一般的だからです。

現在は一定数を超えたメール送信に対して、受信制限をかけるメールプロバイダーや携帯キャリアが多いです。例えばGamilでは、Gmailアカウントの宛先に1日5,000通以上送るユーザーに関して、迷惑メール判定の要件を厳しくしています。

【関連記事】Gmailに届かない?原因と対策を知って問題解決へ

原因②無効な宛先に何度もメールを送った

誤りのあるメールアドレスや既に使われていないメールアドレスなど、無効な宛先に何度もメールを送った場合もブラックリスト入りする可能性があります。こうした行為は、不正ログインなどを試みるサイバー攻撃の手口に見えるからです。

メール配信をしていると、登録者が自分の連絡先を誤って入力していたり、途中でメールアドレスを放棄していたりすることも少なくありません。こうした連絡先を定期的にクリーニングしなければ、ブラックリスト入りする可能性が高まります。

原因③オプトインを得ていない宛先にメールを送った

オプトインとは、ユーザーがメール配信などを受ける際に示す許諾意思のことです。
オプトインを得ていない宛先にメールを送ると、迷惑メールとして報告される可能性が高まります。迷惑メール報告も、ブラックリスト入りの原因になります。

そもそもオプトインを得ていない宛先へのメール配信は、特定電子メール法違反です。メールマガジンの配信などでは、必ず事前にユーザーの許可を取りましょう。

原因④スパムトラップにメールを送った

スパムトラップとは、迷惑メール対策団体やプロバイダーなどが迷惑メールの配信者を特定するために用意しているメールアドレスです。使い捨てのメールアドレスを開放し、迷惑メールを受信することでブラックリストの運用に役立てています。

リストとして購入したり、インターネット上で拾ったりしたメールアドレスの中には、スパムトラップが混ざっている可能性があります。また、一般ユーザーが放棄したメールアドレスがスパムトラップとして使われていることもあります。

原因⑤マルウェア感染などでメールが大量配信された

ウイルスなどのマルウェア感染やハッキングなどでメールが大量送信されれば、ブラックリストに登録されるリスクが高まります。

セキュリティ体制が整っていれば、このような事態が発生する可能性は低いです。しかしコンピューターの動きが異常に遅い場合などは、サイバー攻撃の可能性も探ってみましょう。以下の記事で、感染時の特徴などを解説しています。

またマルウェア感染などの被害に遭った後でメールが届かない場合も、ブラックリスト入りを疑いましょう。

【関連記事】マルウェアとは?種類や感染経路、症状、対策を分かりやすく

原因⑥同じサーバーに迷惑メールの配信者がいた

ブラックリストには送信者のメールアドレスでなく、IPアドレスなどが掲載されています。そのため共用サーバーを利用している場合、他のユーザーの行動に問題があればブラックリスト入りしてしまう可能性があります。

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ブラックリスト登録されているかの確認方法

ここでは、ブラックリストに登録されている疑いがある場合の確認方法をご紹介します。

迷惑メール対策団体でリスト登録の可能性がある場合

迷惑メール対策団体のブラックリストに登録されている可能性がある場合は、ブラックリストの登録確認サイトで複数団体のリストをまとめて確認できます。

確認サイトはいくつか種類がありますが、今回は数多くのデータベースのチェックを行えるblacklistalert.orgでの確認方法をご紹介します。

手順1. 確認サイトでIPアドレスまたはドメインを入力

blacklistalert.orgでの入力画面

blacklistalert.orgにアクセスします。
ページ上部に「IP or Domain」と書かれた欄がありますので、そこにIPアドレスまたはドメインを入力してください。

手順2. 「check」をクリックし、結果を確認

blacklistalert.orgでの検索結果の画面表示

IPアドレスまたはドメイン入力欄の横にある「check」をクリックすると、確認結果が表示されます。ブラックリストに登録されていなければ「OK」、登録されている場合は該当するリストの横に「Listed」と表記されます。

プロバイダーなどでリスト登録の可能性がある場合

特定ドメインの宛先のみでメールが届かない場合は、プロバイダーや携帯キャリアに問い合わせてみましょう。

ただし迷惑メール対策団体と異なり、プロバイダーなどでは結果の公開や登録解除の申請を受け付けていない場合もあります。

ブラックリストからの解除方法

迷惑メール対策団体のブラックリストに登録されても、リストを管理する団体に申し出れば解除が可能です。

迷惑メール対策団体のリストに登録されていた場合

登録解除の申請方法は団体によって異なり、ウェブ上からの申請が可能な場合もあります。
ここではSpamhausを例に、解除の申請方法をご紹介します。

【解除申請時の注意点】
迷惑メール対策団体に対してブラックリストからの登録解除を申請できるのは、サーバーの管理者に限られます。第三者やサーバー管理者でない情報システム担当者が申請することはできません。

手順1. 公式サイトの「Reputation Checker」をクリック

Reputation Checkerでの確認方法

Spamhausの公式サイトにアクセスし、ページ上部のメニューバーの右端にある「Free Datasets And Tools」をクリックします。
そして開かれた詳細メニューの中から、右下にある「Reputation Checker」をクリックします。

手順2. IPアドレスまたはドメインを入力し、ブラックリスト情報をチェック

Reputation Checkerでの入力方法

Reputation Checkerは、Spamhausのブラックリストに「指定のIPアドレスやドメインが登録されていないか」を確認するツールです。

空欄にIPアドレスまたはドメインを入力し、「Lookup(調べる)」をクリックします。

手順3. ブラックリストへの登録があれば「show details」をクリック

Reputation Checkerでの結果画面

Spamhausのブラックリストへの登録がなければ「《IPアドレスまたはドメイン》 has no issues(何も問題はありません)」、登録があれば「《IPアドレスまたはドメイン》 has 1 listing(1つのリストに登録されています)」といった文言が表示されます。

Reputation Checkerでスパム判定をされた場合の画面表示

ブラックリストに登録されている場合は、登録の理由(Why is this IP address listed?)などが記載された文章が下に出てきます。文章を下までスクロールして目を通し、「Show details(詳細を見る)」をクリックしてください。

手順4. 詳細の下にある「Next Steps」をクリック

「Show details」をクリックすると、登録に関する詳細情報が表示されます。その下にチェックボックスと、「Next Steps(次のステップへ)」と記載されたボタンが出てきますので、チェックボックスにチェックを入れ、ボタンをクリックしてください。

手順5. 必要情報を入力し、「Submit」をクリックして完了

解除を申請するためのフォームが表示されますので、氏名やメールアドレス、問題に対する自由記入欄に必要事項を入力しましょう。最後の自由記入欄には、例えば以下のような内容を記載します。

  • 解除の申請希望
  • 再度登録されないように行った対策

文章は英語で入力する必要がありますが、翻訳機能などを使って入力しても構いません。
「Submit(提出する)」をクリックすれば申請完了となり、入力したメールアドレスに確認メールが送られてきます。

プロバイダーなどのリストでは解除不可の場合も

前章で記載した通り、メールプロバイダーなどでは一般に解除申請の窓口を設けておらず、解除申請の方法も公開していません。そのためブラックリストからの登録解除ができない可能性もあります。

そうは言っても各社で対応方法は異なりますので、まずは該当のプロバイダーなどに問合せをしてみましょう。

メール配信でブラックリスト入りを防ぐ6つの対策

ブラックリストから登録を解除できても、メールの配信方法などを見直して根本的な原因を取り除かなければ、再度ブラックリスト入りする可能性があります。
以下のような対策により、再ブラックリスト入りを防ぐようにしましょう。

  • 対策①一度に送信するメールの数を減らす
  • 対策②定期的に送信リストをクリーニングする
  • 対策③オプトインを得た宛先以外にメールを配信しない
  • 対策④購読解除を簡単にできるようにする
  • 対策⑤送信ドメイン認証を行う
  • 対策⑥専用サーバーを利用する

メール配信では複数のIPアドレスを活用したり、間隔をあけて少しずつ送ったりして一度での大量配信を避けましょう。また無効なメールアドレスを送信リストから除いたり、迷惑メールとして報告されないような工夫をしたりすることも重要です。

Q. 送信ドメイン認証とは?

送信ドメイン認証とは、メールサーバーのIPアドレスや電子署名の仕組みを利用し、メール送信者が「なりすまし」でないことを証明するものです。

現在は、送信ドメイン認証を迷惑メールの判断基準に用いているメールプロバイダーが多くあります。そのため送信ドメイン認証を採用すれば、迷惑メールと誤認されるリスクを大幅に下げることができます。

送信ドメイン認証にはいくつかの種類がありますが、SPFやDKIMに加えてDMARCに対応していることが望ましいです。

【関連記事】DMARCとは?仕組みやメリット、おすすめの導入方法を紹介

専用サーバーの利用も重要な対策

企業の場合、メール配信は重要なマーケティング戦略の一つです。メールの到達率が下がれば売上にも大きな影響を与えます。迷惑メールとして報告されたり、ブラックリストに登録されたりしないよう工夫しましょう。

ブラックリスト入りを防ぐ対策としては、専用サーバーの利用も重要です。社内でどれだけメールの配信方法を工夫しても、同じサーバーを利用する人の使い方が悪ければブラックリストへの登録を避けられないからです。

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