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専用IPアドレスでメール到達率改善!メリットや注意点を解説

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専用IPからのメールに関する解説

メール送受信の際に共用IPか専用IPかを気にされる方は少ないかと思いますが、実はこのIPの違いがメール到達率に大きな影響を与えることがあります。

そこで、この記事ではメールを専用IPアドレスから送信することもメリットや注意点、専用IPの基本知識に導入方法など網羅的にご紹介します。

専用IPアドレスとは?

まずは、そもそもの話ではありますが、専用IPアドレスとは何なのかについて、その定義や共用IPとの違いについて解説します。

専用IPアドレスの基本的な定義

専用IPアドレスとは、一つのIPアドレスを単一のユーザーまたは組織が独占的に利用できるIPアドレスのことです。

メール送信においては、一つの専用IPアドレスからメールを送信することで、他のユーザーの影響を受けずに、メールの到達率やレピュテーションを管理することができます。

「専用IP」と聞くとウェブサイトやサーバーへのアクセスを連想されることが多いですが、メール領域での使われ、メール送信に特化した専用IPアドレスも提供されています。

共用IPアドレスとの違い

専用IPアドレスに対して、共用IPアドレスは複数のユーザーが一つのIPアドレスを共同で利用する方式です。
レンタルサーバーといったホスティングサービスなどでよく利用されており、コストを抑えることができるメリットがあります。

しかし、メール送信においては、他のユーザーの行為が自身のメール到達率に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

具体例

同じIPアドレスを利用している他のユーザーがスパムメールを送信した場合、そのメール送信を行っているドメインと送信メールサーバーのIPアドレスのレピュテーションが低下、もしくはブラックリストに登録されます。

そうなると、同じIPアドレスを利用している自身のメールも迷惑メールとして扱われるリスクが大きく高まります。

メールがブラックリスト登録される原因と確認・解除方法

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IPレピュテーションとは?

IPレピュテーションとは、メール送信元のIPアドレスに対する信頼度を数値化したものです。レピュテーションは、スパムメールの送信履歴、ブラックリストへの登録状況、送信ドメインの認証設定など、様々な要因によって評価されます。
そのため、この数値が低いレピュテーションのIPアドレスからのメールを迷惑メールとして分類する傾向があります。

逆に、高いレピュテーションのIPアドレスは、メールの信頼性を高め、受信トレイへの到達率を向上させますので、IPレピュテーションを高く維持することが重要です。

具体的には、スパムメールの送信を避け、送信ドメインの認証設定(SPF、DKIM、DMARC)を適切に設定し、オプトイン方式でメールアドレスを収集するなど、メール送信に関するベストプラクティスを実践する必要があります。また、メールの内容も重要であり、受信者が迷惑メールと感じるような内容は避けるべきです。

SPF、DKIM、DMARC対応のメールサーバー

専用IPアドレスの利用が推奨されるケース

大量のメールを定期的に送信する企業や組織、特にメールマーケティングを実施している場合、専用IPアドレスの利用が強く推奨されます。

そういった企業や組織の場合、メールマーケティングが会社の売上に大きく影響する要素となっているケースが多いので、メールの到達率を安定させブランドイメージを守るためには、自社でIPレピュテーションをコントロールできる専用IPアドレスが不可欠です。

また、高いセキュリティレベルを維持したい場合や、メール送信に関する詳細なログ分析を行いたい場合にも、専用IPアドレスは有効な手段となります。

専用IPからメールを送信するメリット

それでは、ここからは実際に専用IPからメールを送信することのメリットについてご紹介していきます。

IPレピュテーションを自分で管理できる

前述でもご紹介の通り、専用IPアドレス最大のメリットはIPレピュテーションを自社で管理できることにあります。

共用IPアドレスからメール送信を行う環境の場合、他のユーザーの行為によって巻き込まれる形でIPレピュテーションが低下するリスクがあります。

その点、専用IPアドレスからのメール送信であれば、自社のメール送信ポリシーに基づいてレピュテーションを管理し、高い信頼性を維持することができます。

他の送信者の影響を受けない

共用IPアドレスからのメール送信では、他のユーザーがスパムメールを送信した場合、同じIPアドレスを利用している自身のメールも迷惑メールとして扱われるリスクがあります。

実際にこのケースは、送信するメールの内容に気を配っているのに迷惑メール判定になってしまう状況に疑問を感じ、IPアドレスを調査してみたところ共用メールサーバーのIPアドレスがブラックリストに入っていたという事例が多数あります。

しかし、専用IPアドレスからメールを送信できる状況であれば、他の送信者の影響を受けることなく、安定したメール配信を実現できます。これにより、メールマーケティングの効果を最大化し、ビジネスの成長を促進することができます。

大規模なメール送信に適した環境を構築可能

大量のメールを頻繁に送信する場合、共用IPアドレスでは送信制限に引っかかったり、送受信のメールサーバーで他のユーザーの大量のメール送受信とタイミングが被ってしまうことでメールサーバーの渋滞、最悪の場合はメールのロストが発生するリスクがあります。

対して、専用IPアドレスからメール送信を行う場合は、自社以外にその専用IP(専用送信メールサーバー)からメールを送信することはありませんので、大規模なメール送信であってもフルに処理能力を発揮できるため、ビジネスの拡大に合わせて柔軟に、そして適格にメール配信量を調整できます。

また、専有できることで送信速度も向上しますので、効率的なメール運用が可能になります。

専用IPアドレス導入時の注意点

そんなメール配信にメリットの多い専用IPアドレスですが、実際に導入するとなった場合にはいくつか注意点があります。

ここがネックで導入が進まないというケースも散見されますので、事前に目を通しておきましょう。

専用IPアドレスのコストと予算

レンタルサーバーなどのホスティングもしかり、メールサーバーなどのサービスでも、専用IPアドレスは共有IPアドレスに比べてコストが高くなる傾向があります。

そのため、今まで共用IPのメールから乗り換えを検討している場合は、本格的に導入する前に予算と費用対効果を慎重に検討する必要があります。

費用感や課金体系(ユーザー課金制や月額定額制)はサービス事業者によって異なるため、自社のニーズに合ったプランを選択することが重要です。

ユーザー数無制限!月額定額制のKAGOYAメールプラン

IPウォームアップの重要性

新規に取得した専用IPアドレスは、レピュテーションがゼロの状態です。
そのため、いきなり大量のメールを送信すると、スパムと判断される可能性が高くなります。

このリスクの対策としては、IPウォームアップと呼ばれる手順が必要です。
これは、最初は少量のメールを送信し徐々に送信量を増やしていく手法で、IPレピュテーションを徐々に構築していくための代表的なプロセスです。

IPウォームアップの具体的な方法としては、最初の数週間は毎日一定の割合で送信量を増やし、メールの到達率やスパム報告率をモニタリングしながら調整します。また、ハードバウンスやソフトバウンスの数にも注意を払い、送信リストのクレンジングを定期的に行いましょう。

事前にブラックリストを確認

新規で利用開始される専用IPアドレスの場合であれば、上記でご紹介の通りレピュテーションがゼロの状態ですので、そこからIPアドレスを育てることに注力すれば良いですが、まれに専用IPを取得した時点で既にブラックリストに登録されているケースもあります。

これは、専用IPであることは間違いありませんが、その専用IPの元の所有者が不適切なメール運用を行ったことでそのIPがブラックリスト化、その後その専用IPアドレスを手放した後に新しい契約者にその専用IPが渡ってしまうことで発生します。

この場合、運の要素も関わりますが、事前にIPアドレスの調査を行うことで回避は可能ですので、ひと手間かかりますが専用IPでのメール配信開始前にIPアドレスの調査が推奨されます。

取得した専用IPがブラックリストに入っている場合であっても、その情報が誤りであるとリストを管理する団体に申し出ればブラックリストを解除してもらうことは可能です。
ブラックリストからの解除方法

専用IPアドレス導入のプロセス

専用IPアドレスでのメール送信やそのメリット、注意点などを把握できた上で導入を行う場合、そのプロセスについても事前に把握しておくことで、スケジュール感やその後のタスク管理が行いやすくなります。

専用IPアドレスを取得する方法

まずは、肝心の専用IPアドレスを取得する方法からご紹介します。

専用IPアドレスは、プロバイダやクラウドサービス、ホスティングサービスから取得することができます。

プロバイダーに固定IPアドレスオプションを申し込む方法であれば、取得したIPアドレスを元にオンプレミス環境にメール環境を構築して運用することが可能になります。

クラウドサービスやホスティングサービスを利用する場合は、KAGOYAのメールプランのように初めから専用IPを利用できるプランがありますので、こういったサービスに契約するだけで専用IP付きのメール環境を取得することができます。
オンプレミス環境でのメール運用にこだわる必要が無ければ、サーバーの運用など煩雑な作業が不要になりますので、多くの企業は手間や人件費の節約などを加味し、こういったメールプランを選択されます。

いずれにしても、各サービスのプランや料金を比較検討し、自社のニーズに合ったサービスを選択する必要はあります。

メールサーバーの設定と管理

専用IPアドレスを取得したら、基本的にはメールサーバーの設定が必要です。


上記でご紹介の通り、専用IPアドレスでのメール運用が可能なメールプランなどを利用される場合であれば、わざわざ専用IPアドレスをメールサーバーに紐づける作業をする必要はなく、その辺りの設定は完了した状態で利用開始できます。

しかし、自社で専用IPを取得した場合は、DNSレコードの追加やメールクライアントの設定など、やや専門的な知識が必要な作業を行う必要があります。

専用IPアドレス利用開始後のモニタリング

新規で取得した専用IPアドレスの利用を開始したら、メールの到達率やIPレピュテーションを定期的にモニタリングすることが推奨されます。

通常のメール配信であればここまで神経質になる必要はありませんが、メルマガなどのメールマーケティングとして大量にメール配信を定期的に行う場合は、必要な作業となります。

なお、IPレピュテーションの確認方法としては、その数値をチェックできるブラウザツールが複数存在していますので、そこから確認できます。

Talos Intelligence公式サイトでのレピュテーションチェック
IPレピュテーションチェックツール
  • Barracuda Central:IPレピュテーションとドメインレピュテーションの両方をリアルタイムでチェックできるBarracuda Networks社のサービス。
  • Talos Intelligence:IPアドレスかドメインを入力することで確認できるCiscoが提供するレピュテーションチェックツール。

定期的にこういったチェックツールを駆使して、問題が発覚した場合には迅速に対応することで悪影響を最小限に抑えることができます。

まとめ

専用IPアドレスを導入することで、メール到達率を向上させ、安定したメール配信を実現できます。

しかし、専用IPを導入したらそれで終わりではなく、専用IPのIPウォームアップと継続的な管理は必要になります。
専用IPアドレスの効果を最大限に発揮するためにこの作業は必要不可欠です。適切な管理を行うことで、高いIPレピュテーションを維持し、メール到達率を向上・維持させることができます。

当然、いくら専用IPアドレスが必須だと言っても、そのコストは無視できるものではありませんので、自社に適した方法で専用IPアドレスのメール送受信環境を構築できるようにしましょう。

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