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ビジネスチャットのセキュリティは?リスクや安全に使う方法

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ビジネスチャットのセキュリティについて

ビジネスチャットは気軽にメッセージのやり取りができるだけではなく、データの共有にも便利なツールです。

しかし、それ故にセキュリティ面をないがしろにしてしまうと、そこから情報漏洩が発生してしまうリスクもあります。

これは企業として何としても回避しなければいけないリスクですので、この記事ではビジネスチャットにおけるセキュリティについてご紹介いたします。

ビジネスチャットのセキュリティの重要性

冒頭でもご紹介の通り、ビジネスチャットは年々導入する企業が増えてきています。

そして導入企業数の増加に比例して、セキュリティの重要性も増加してきています。

ビジネスチャットの普及率増加

ビジネスチャットは2017年時点では、従業員数200名以上の企業で約28%の導入率でしたが、2022年時点では40%以上の企業が導入を開始。

特に従業員数が1万人以上の企業に絞った場合には、導入率80%と非常に高い数値が記録されています。

参照:BizClip(https://www.bizclip.ntt-west.co.jp/articles/bcl00014-035.html)

更にビジネスチャットは社外のユーザーも招待できる仕様になっていることがほとんどですので、自社ではビジネスチャットを導入していない企業の社員でも取引先などのビジネスチャットを利用しているというケースもあるため、使用率で考えるとさらに高い数値が予想されます。

セキュリティの必要性

上記の通り、ビジネスチャットは年々導入する企業数が増えてきている状態にあり、メッセージのやり取りだけではなくデータの共有手段としても利用されるようになっています。

そういった利便性の向上に伴い、悪意のある第三者から狙われる可能性も同時に高まっています。

それだけではなく、社内利用に留まらず社外ユーザーも招待した利用方法も増えているため、それだけ情報漏洩などのリスクも増してしまいます。

こういった事情から、ビジネスチャットを導入する場合にはビジネスメールとは異なるビジネスチャットに対するセキュリティに気を配る必要があります。

ビジネスチャットのセキュリティリスク

それでは具体的にビジネスチャットにどの様なリスクが潜んでいるのかをご紹介します。

データ漏洩

1つ目のセキュリティリスクは、データ漏洩です。

データ漏洩に関してはビジネスチャットだけのリスクではなく、メールや口頭、書類の紛失など様々な場面で起こる可能性あるリスクです。

ビジネスチャットでデータ漏洩が起きてしまう経路としては、ビジネスチャットができるロック未設定のスマホを紛失し、そこからデータ漏洩が起きるパターン。本来特定のチャネルだけを閲覧できる権限で招待すべき社外ユーザ―を、管理者権限付きで招待してしまい社外秘情報を扱うチャネルを閲覧されるパターン。

他にもログイン情報をブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)により第三者にアクセスされ、そこから情報を抜かれてしまったり、チャットの送信相手を間違えてしまうなどのうっかりミスによりデータ漏洩も可能性としては存在します。

不正アクセス

ビジネスチャットにおける2つ目のセキュリティリスクは、不正アクセスです。

1つ目のリスクである情報漏洩の際にもご紹介の通り、ビジネスチャットは簡単なパスワードに設定していたり2段階認証を有効にしていないとブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)により不正アクセスをされてしまうリスクがあります。

また、プライベートで使用しているIDとパスワードをそのままビジネスチャットにも使いまわしており、そのID/PASSがセットで流出している場合は、どれだけ複雑なパスワードを設定していたとしてもそこから不正アクセスに繋がることもあります。

マルウェアの感染

ビジネスチャットのセキュリティリスク3つ目は、マルウェア感染です。

ビジネスチャットでは全く知らない外部のユーザーからメッセ―ジやデータが送られてくることはなく、基本的には社内もしくは取引のある社外ユーザーとのやり取りとなります。

そのため、メッセージで送られてくるURLは全て安全なものという認識が生まれ、多少不自然な日本語だったとしても不信感を抱かずにアクセスしてしまう可能性があります。

しかし、前述でご紹介の通りビジネスチャットではセキュリティ対策が十分でないとブルートフォース攻撃などでアカウント所有者本人以外からの不正アクセスも起こり得ます。

そのため、そこから侵入した悪意ある第三者がアクセスできる各チャネルにマルウェアが仕込まれたサイトへのURLを送信し、取引先も含めた全社的に被害が一気に拡大する可能性があります。

傍受による情報漏洩

4つ目のセキュリティリスクは、傍受による情報漏洩です。

基本的に現在普及しているビジネスチャットは暗号化されているものがほとんどだと思いますが、暗号化に対応していないチャットだったり社内で独自に構築したチャットシステムの場合は、パスワード周りや不正アクセスの対策が完璧だったとしても、メッセージのやりとりや送受信したデータファイルを外部から抜かれてしまうリスクがあります。

ビジネスチャットを安全に利用する方法

ビジネス向けのチャットツール

ここまでビジネスチャットに潜むリスクについて紹介してきましたが、もちろん安全に利用するための対応策も存在します。

そこで、ここからはこれらのリスクを回避して、安全に利用する方法についてご紹介します。

強固なパスワード

まずは何と言っても、パスワードを強固にすることです。

推測されやすいパスワードを避け、8桁以上の大文字小文字を含めた英数字で設定することで約218兆通り以上の組み合わせとなりますので、ブルートフォース攻撃で破られないような強固なパスワードにすることができます。

もちろん、他の経路でパスワードの文字列自体が漏洩してしまうと意味はありませんが、単純な総当たり攻撃に対しては非常に有効な対策となります。

二段階認証

仮に上記のパスワードを強固にしたが何らかの方法で突破されたとしても、二段階認証を有効にしておくことで不正アクセスや情報漏洩を防ぐことはできます。

二段階認証に対応していないビジネスチャットを選んでしまっている場合はこの方法は取れませんが、対応しているチャットの場合はこちらもセキュリティリスクに対する対策としてはかなり有効な手段となっています。

なお二段階認証を行う方法は、ビジネスチャットとは異なるID/PASSで利用している社用スマホやメールなどで認証できる設定が推奨されます。

エンドツーエンド暗号化に対応しているチャットを選ぶ

エンドツーエンド暗号化、一般的に暗号化と言われる機能が備わっているビジネスチャットを選択することで、外部からのメッセージやデータの傍受を防ぐことができます。

ご紹介の通り、基本的に現在のビジネスチャットではこの暗号化は標準機能として搭載されていることがほとんどですが、マイナーなものも含めて全てのビジネスチャットに100%備わっている機能かどうかは判断できませんので、これからチャットの選定を行う場合は念のため暗号化機能の有無を確認されることが推奨されます。

社内教育

ビジネスチャットのセキュリティに関する機能面に関しては、ビジネスチャットの選定・導入を指揮する担当者がチェックを怠たらなければ、機能面に関する対策はそれで完了します。

しかし、機能面以外にうっかりミスだったりチャットの運用面におけるリスクに関しては、実際に使用する社員(社外含む)の使い方次第でリスクが生じるかどうかが変わります。

そのため、管理者だけではなくビジネスチャットを利用することになるユーザー全員に対して、社内教育を徹底する必要があります。

他の対策が完璧でも社内教育が不十分だと、セキュリティリスクが無くなることはありませんので、手間が掛かる部分ではありますが時間をかけてしっかりと周知しなければいけません。

最新のセキュリティ機能

ビジネスチャットにおけるセキュリティリスクの対策をご紹介しましたが、最近では新しいセキュリティ対策機能も登場し始めています。

企業によっては過剰防衛になってしまう可能性もありますが、そこに充てられる予算に余裕がある場合は導入して損はないセキュリティ機能です。

AIによる異常検知

ビジネスチャットの中には、AIを使って自動的に異常を検知するセキュリティ機能があります。

AIは大量のデータを分析してパターンを見つけ出し、異常な行動やサイバー攻撃の兆候を検出するのに非常に有用です。具体的には異なる異常なログイン試行回数が発生していたり、異常なメッセージの送信パターン、怪しいリンクや添付ファイルなどを検出できます。

特に普段から複数のユーザーと複数のチャネルで大量のやり取りが発生するような環境である場合、スピードも求められていることも多いことからこのようなAIによる事前の潜在的脅威の検出はかなり効果があります。

もちろん、AIは完璧ではないので、ビジネスチャットのセキュリティをAIだけに頼るのは危険ですので、これに加えてユーザー教育と従来のセキュリティ対策の維持も必要となります。

データ損失防止(DLP)機能

「データ損失防止」という文字列を見るとバックアップのような機能をイメージするかも知れませんが、ビジネスチャットにおけるデータ損失防止(DLP)機能は企業の重要な情報が不適切に外部に漏れ出すのを防ぐためのテクノロジーのことを指しています。

具体的には、ビジネスチャット内の機密データの使用と移動をモニタリングし、その行動が企業のポリシーに違反する行動だと判断された際に警告やブロックを行う機能です。

このDLP機能は、特に金融や医療、公共部門といった規制対象の業界においては、コンプライアンスを維持するのに非常に効果的です。

ただし、効果的なDLPの導入には適切なポリシー設定やユーザー教育も必要となりますので、導入が完了するまでには時間が掛かってしまうデメリットも存在します。

リアルタイム監視と通知システム

KAGOYA Chatにも搭載されているリアルタイムでモニタリングを行うリアルタイム監視も割と新しいセキュリティ機能に分類されます。

ビジネスチャットのリアルタイム監視機能は、企業が社内でのチャット通信をリアルタイムで監視する機能のことです。

この説明だけだとAIによる異常検知と違いが無いように見えます。実際、ビジネスチャットのリアルタイム監視とAIによる異常検知はどちらも監視という目的は同じですが、その方法と範囲に違いがあります。

リアルタイム監視はその名の通りリアルタイムでの監視を指しており、ルールに沿ってコンテンツ等を監視、特定できるという特徴があります。ただし、これは一般的には設定した特定のルールに沿って行われるものであるため、事前に設定したルールに該当しないものに対しては効果が発揮できないことがあります。

これに対し、AIによる異常検知は人工知能を利用して通信の監視を行いますので、AIの特徴である機械学習を通じて大量のデータからパターンを学習し、異常な行動や新しい脅威を特定することが可能です。これにより、従来の設定では検出できなかった未知の脅威や不適切な行動を検知することができるようになります。

まとめ

ビジネスチャットは社内ユーザーや社外であってもこちらから招待したユーザーだけでやり取りを行える環境です。

それゆえ、不特定多数から送信される可能性があるメールに比べてセキュリティに対して厳重な対策が必要ないと思われがちですが、実際はそうではありません。

ビジネスチャットと言えど、基本的なセキュリティ対策は必要であり、実際に使用するユーザーに対してセキュリティ意識を高めて正しい運用ができるように教育を施す必要もあります。

とはいえ、それらの対策をしっかりと行えば非常に便利なツールではありますので、注意点を抑えつつ安全に活用して業務効率の向上を目指しましょう。