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HTTP/3とは?HTTP/2との違い(quic・udp)をわかりやすく紹介

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HTTP3とは

知りたいことは、少し検索をすれば大概のことは解決できるほど、我々の生活にすっかり普及したインターネット。
情報が溢れていく一方で、多くの情報を発信するWebサイト運営者は、膨れゆくデータを迅速にやり取りする環境構築が必須です。HTTP/3を活用することで、増えすぎた情報をスムーズにユーザーへ届けられるようになります。
この記事では、そもそもHTTPとは何なのか、HTTP/3とHTTP/2との違いについてわかりやすく解説します。

HTTP/3とは何かをわかりやすく紹介

HTTP/3(読み方:エッチ・ティー・ティー・ピー・スリー)とは、HTTPの3つめのバージョンを意味します。

ひとつ前のバージョンであるHTTP/2 に比べて、より速くWebサイトを表示できるよう改良されました。

効率的な通信を実現するためのさまざまな工夫が実装されているため、今後さらなるWebコンテンツの表示速度の高速化が期待されています。

GoogleやYouTube、FacebookなどはHTTP/3をすでに活用しており、Webの表示速度の高速化を可能にしています。

HTTP/3を導入することにより、以下のようなメリットがあります。

HTTP/3導入のメリット
  • 接続開始時の遅延が小さい
  • セキュアな通信を実現
  • パケットロス時の通信を効率化

そもそもHTTP/とは?

HTTPとは、Hyper Text Transfer Protocol(ハイパー・テキスト・トランスファー・プロトコル)を略した用語です。

簡単にいうと、インターネット上のWebサイトを閲覧する際に使用するプロトコルです。企業や個人のホームページ、ネットショッピングのWebサイトなどを閲覧できるようになります。

プロトコルとは、ネットワーク上でデータを通信する際の約束ごとです。たとえば、英語を話せない日本人と、日本語を話せないアメリカ人は会話ができません。コミュニケーションを図るためには、日本人が英語をマスターするか、アメリカ人が日本語を学ばなくてはなりません。

通信の世界においても、同じく相手とコミュニケーションをとるためには、互いの足並みをそろえる必要があります。

このような約束ごとに関して、通信規格や通信プロトコルと称されます。一般的にプロトコルと言うと、「通信プロトコル」を指すケースが多いです。

HTTPは、Webサイトを閲覧するときに使用するプロトコルです。Webサイトを閲覧する際、Google ChromeやMicrosoft Edge、Fire FoxなどのWebブラウザ(アプリ)を使用します。

Webサイトを閲覧するまでのやりとりは、WebブラウザがWebサイトのサーバに対して見たいページの送信を要求します。するとWebサイト側のサーバが「この要求は安全で問題ない」と判断し、Webブラウザへ要求されたページを送信します。

このような通信のやり取りをする時に使用されるのがHTTPです。

従来のHTTP(HTTP/2)との違い

HTTP/2とHTTP/3の違いは、通信方式に違いがあります。

HTTP/2は、TCP※(読み方:ティー・シー・ピー)を使用し、HTTP/3はUDP(読み方:ユー・ディー・ピー)を使用するところが異なります。さらにHTTP/3は、TLS1.3※を活用して安全性を確保しながらデータのやり取りを行えるという差もあるのです。

また、HTTP/2では、以下にあげる課題があります。

  • ハンドシェイク※による通信の遅延
  • ヘッドオブラインブロッキング※の問題

ハンドシェイクとは、データ転送を行う前にコネクションの確立を行う通信方式です。この際、通信を行うコンピューター同士で複数回のやり取りが発生するため、HTTP/3と比べて通信速度が遅くなります。

2つ目のヘッドオブラインブロッキング※とは、TCPパケットを連続で送信する際、一番先頭のパケットに何かしらのエラーが発生すると、再送を完了させるまで後続のパケットを送れない事象です。

HTTP/3では、これら2つの課題を改善しています。

用語概要
パケット
(packet)
データを分割したもの(パケット=小包)
データを分割することで、ネットワーク上での通信を円滑にやりとりできるようになる
TCP
(Transmission Control Protocol)
通信するときに使用する通信プロトコルのひとつ
送信したデータが相手に届いたかを都度確認しながら通信する
OSI参照モデルのトランスポート層にあたるプロトコルで、インターネットなどで利用される
信頼性が高い反面、転送速度は低い特徴がある
ハンドシェイク二台のコンピューターが通信をする際、
利用する通信方式や各種の設定値を互いに交換したり調整したりすること
TLS1.3
(Transport Layer Security Ver.1.3)
インターネットなどにおけるネットワークにおいて、
コンピューター同士が安全性を確保しながらデータをやり取りするための暗号化通信プロトコルの最新バージョン(2023年2月現在)
ヘッドオブラインブロッキング
(Head-of-Line Blocking)
TCPパケットを連続で送信する際、
一番先頭のパケットに何かしらのエラーが発生すると、
先頭パケットの再送が完了するまで後続のパケットをブロックすること

UDP

UDP(読み方:ユーディーピー)とは、User Datagram Protocolの略語で通信プロトコルのひとつです。

コネクションレス型のプロトコルのため「スピードを重視した通信を目的」とし、送信したデータが相手に届いたかを確認しません。転送速度が高い反面、信頼性が低いという特徴があります。

UDPと良く比較されるTCPは、HTTP/2及びHTTP/1で使用されていました。TCPは、「データが確実に相手に届くことを目的」としたプロトコルです。UDPとは逆で、信頼性が高い変わりに転送速度が低い特徴があります。

QUIC

QUIC(読み方:クイック)とは、Quick UDP Internet Connectionsの略語で、HTTP/3に含まれるUDPを用いた通信プロトコルです。通信が高速である一方で信頼性が低いUDPを、TCPのような高い信頼性へ向上させて提供できるようになりました。

QUICは、もともとGoogle社がWebアクセスを高速化する目的で独自に設計されました。通信の高速化を目的としてQUICを標準化させるため、Googleは2016年にこの仕様をIETF(読み方:アイ・イー・ティー・エフ)へ提案したのです。

IETFとは、Internet Engineering Task Forceの略で、インターネットの技術を標準化して推進する任意団体のことです。その後2021年、QUICは新たなトランスポートプロトコルとして標準化されました。

従来のHTTP/2を高速化するためには、HTTP自体の改良だけでは足りないため、TCPで通信を行う際の速度の低さを解消する必要があったのです。

QUICでは、TLS1.3※(読み方:ティー・エル・エス・1.3)の活用が必須で、ハンドシェイクによってセキュリティの高い通信を可能とします。

UDPは、TCPのようなデータの誤りを確認するハンドシェイクなどの仕組みがありません。そのため、TLS1.3のハンドシェイクを活用することで、高速かる信頼性の高い通信を実現できるようになります。

QUICは、これまでの規格と比べて、以下のような機能に優れています。

  • 通信開始時の接続確立を高速化
  • 複数の通信経路の利用により通信を効率化
  • TLS1.3を活用した高セキュリティ
  • コネクションIDによるモバイルクライアントの再接続ロスの低減
  • ヘッドオブラインブロッキングの解消

このように、QUICを活用することで、Webサイトへのアクセスの高速化や、通信のセキュリティ向上、モバイルクライアントの再接続ロスの軽減などが図れます。

たとえば、日常のシーンにおいてスマートフォンで音楽をストリーミング再生しながら移動している最中に、使用している携帯キャリアや接続先のWi-Fiデバイスが切り替わる際でも、通信が途切れることなく接続を維持できます。

「HTTP/3=QUIC」ではない

よくある勘違いとしてQUICは、HTTP/3と同じものとして解説されることがありますが「HTTP/3=QUIC」ではありません。簡単に言うと、HTTP/3を利用して高速かつ安全にWebを閲覧するため、QUICという通信プロトコルを使用していることになります。

どんなWebサイトがHTTP/3を導入するべき?

どんなWebサイトがHTTP/3を導入するべきなのでしょうか。特に、以下のようなサイトはHTTP/3を導入すべきと言えるでしょう。

HTTP/3を導入するべきサイト
  • 画像を多く掲載するECサイト
  • 動画を多く取り扱うSNSサービス
  • ノウハウなどを解説して集客を見込むWebメディア

特にSEO(読み方:エス・イー・オー)により、集客を見込みたいWebサービスの運営者は、年々リッチになるWebコンテンツを素早く表示させる必要があります。

※SEOとは、Search Engine Optimizationを略した用語で、「検索エンジン最適化」を意味します。SEOを行うことで、より多くのユーザーを自社の運営するサイトへ流入させられるようになります。

一方、HTTP/3を急いで導入する必要がないWebサイトは、以下のようなケースです。

HTTP/3導入を急がなくていいサイト
  • 外部に保存するデータ量が少ない
  • サーバの遅延時間が小さい
  • 高品質なネットワークを確立している

上記のようなケースでは、高速処理が実現されているため、現状よりも通信を高速化するのは難しい場合もあります。

HTTP/3を導入したいときは対応状況をチェック

HTTP/3を導入する際、対応状況をチェックすることが重要です。HTTP/3の対応状況を確認することで、提供するWebサービスの表示速度が格段に高速となります。具体的な確認ポイントは以下となります。

  • クライアント側のブラウザが対応しているか
  • サーバが対応しているか
  • クライアントとサーバでUDPの443ポートが開放されているか

Webサイトの表示速度を高速にすることで、ユーザーの離脱を防ぎます。これは、ECサイトやオウンドメディア、SNSサービスなど、どの分野のWebサービスでも共通して言えることです。

また、HTTP/3の対応状況は、以下のサイトで確認が可能です。

・HTTP/3対応ブラウザ・サーバーの確認法:Can I Use(https://caniuse.com/)

※Can I Useの利用方法はコチラを参考にご利用ください。

・HTTP/3の対応をオンライン上で確認できるサービス:HTTP/3 CHECK(https://http3check.net/)

HTTP/3の標準化はいつから?

2022年6月に、IETF(インターネット技術の標準化を推進する団体)により、HTTP/3の標準化プロセスが完了し「RFC 9114」として勧告されました。

標準化とは、インターネットを利用する上で、ユーザーとWebサービス提供企業との間で、共通に使用する仕組みを決定することを意味します。具体的には、Webサイトを閲覧するためのユーザー側のアプリケーションや、Webサイト運営側のサーバの標準化が必要です。

利用するユーザーの業務効率や利便性の向上、相互接続性などを実現する目的で標準化はとても重要なのです。
米Q-Successの調査によると、HTTP/3の現在の普及率は2022年6月時点で約25%のWebサイトが対応していることがわかりました。

活用事例としては、「Google Chrome」や「Firefox」などのWebブラウザのサービスにおいて、HTTP/3の実装が進んでいます。

まとめ

HTTP/3は、従来のHTTPに比べて高速に通信を行える技術です。年々、やり取りをするデータの量が増えたことで、高速での通信を行うための環境構築が必要となり、HTTP/3が誕生しました。

それにより、多くのデータを取り扱うWebサイトやWebアプリなどでも、ユーザーはストレスなくWebサイトの閲覧・利用が可能となります。

一部、以下のような注意点もありますので、HTTP/3の環境構築を検討される場合は以下の状況にも気を配りつつ、採用タイミングを計りましょう。

  • TLS1.3とQuicが対応が必須になるので、ブラウザー側の対応が完了するのを待つ必要あり。特に社内向けWEBアプリでIEを使用している場合は要注意。
  • アパッチやエンジンエックスの対応は始まっていますが、完全に定着したとは言えません。CDNの提供事業者にも未対応の業者が残っており、対応完了を待った方が安心できます。
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