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メールサーバー移行を失敗しないための手順とトラブル例をわかりやすく解説

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メールサーバー移行方法の解説

メールサーバーの移行作業では、作業手順に不備があるとメール消失やメールが受信できなくなるといった大きなリスクがあるのは否めません。メールサーバー移行を失敗しないためには、正しい手順で作業をすすめる必要があるのです。

この記事ではメールサーバー移行で失敗しないための基本的な知識、適切なメールサーバー移行手順、よくあるトラブル例と対応策を解説します。手順の意味を理解し、正しい手順で作業を進めればメールサーバーの移行で失敗することはありません。本記事の内容を理解すれば、安心してメールサーバー移行ができるようになります。

メールサーバーを移行する前に確認しておくべき知識

メールサーバー移行の手順を誤ると、メールが使えなくなったりメールが消失したりするリスクがあります。ここではこういったリスクを防ぐため、メールサーバー移行の前に確認しておくべき知識をみていきましょう。

メールアドレスの運用方法ごとに、過去のメールをどう移行させるかが異なる

メールサーバー移行で最も重要なポイントのひとつが、取得済・参照済の過去メールをどう移行させるかです。メールサーバー移行によって、過去メールが削除されてしまったら困るという方がほとんどでしょう。

そのため過去メールをどう移行させるかが重要なのですが、その手順はメールアドレスの運用方法によって異なるのです。以下、メールアドレスの運用方法ごとに過去メールをどう移行させたらよいか解説します。

POP接続にてメールソフトにメールをダウンロードしていた場合

従業員がPOP接続にて、メールソフトにメールをダウンロードしているケースも多いでしょう。この場合、何もしなくても手元のメールソフトにて過去メールを移行後も参照できます。過去メールを移行させるための特別な作業は必要とされません。

メールサーバー移行にあたって、このパターンが最も失敗がなく手間がかからないケースといえます。

IMAP接続にて、サーバー上のメールを参照していた場合

IMAP接続を使い、メールをサーバーからダウンロードせずにメールソフトで参照していたという方も多いでしょう。この方法であれば、パソコン・スマートフォン・Webメールのどれからでもメールを参照でき便利です。

このケースでは、何もしないと過去メールは移行先へ引き継がれません。移行元のメールサーバーを解約した時点で、過去メールも削除されてしまいます。移行先でも過去メールを参照するには、メールソフトにて過去メールを移行させる作業が必要です。

Webメールのみで、サーバー上のメールを参照していた場合

昨今ではWebメールの機能性が高くなっており、メールソフトと同じぐらい使い勝手がよいものも少なくありません。実際、メールソフトを使わずに、Webメールのみでメールを運用しているという企業も少なくないでしょう。

ただしメールサーバー移行で考えたとき、過去メールの移行はこのパターンが最も注意が必要です。Webメールだけで過去メールを参照していた場合、基本的には過去メールを移行させることはできません。移行元にてメールサーバーからメールのデータをエクスポートしたり、移行先にてインポートしたりする手段がないことがほとんどだからです。

このパターンで移行先でも参照できるようにするには、一旦POP接続かIMAP接続で過去メールをメールソフトに取り込む必要があります。その分、メールサーバー移行の手順が増える点は把握しておきましょう。

最大で数日間は新旧両方のメールサーバーにメールが届く可能性がある

メールサーバー移行では、稼働開始のタイミングで全てのメールが新サーバーに届くようになるわけではない点は注意が必要です。

メールサーバーの切り替えはDNSサーバーによって行いますが、新しいDNS情報がすぐにインターネット上に広まるわけではありません。少しの間は、古いDNS情報も残り続けます。結果的には、最大で数日間はインターネット上に新旧DNS情報が混在することになるのです。

メールサーバー移行時のDNSの図解

その間、新旧両方のメールサーバーにメールが届くことになります。

メールをとりこぼさないため、しばらく両方からメールを受信できるようにしておく

前述の通り、DNS情報の伝播に時間がかかる関係で最大で数日間は新旧両方のサーバーにメールが届きます。このとき、同じメールが複製され新旧両方のサーバーに届くわけではありません。

メールAは旧サーバーに、メールBは新サーバーに届くといったように別々のメールが新旧サーバーに届くことになるのです。メールを取りこぼさないためには、しばらく両方からメールを受信できるようにしておく必要があります。

このタイミングで、すぐに古い設定を消してはいけません。新サーバーからしかメールを受信できないようにしてしまうと、旧サーバーに届いたメールを取りこぼすことになるのです。結果的に、旧サーバーに届くメールが全く参照できなくなる可能性があります。

旧サーバー側にメールが届かなくなってから、旧契約を解約する

新サーバー側の稼働が開始された時点で、すぐに旧サーバーの稼働をとめたり解約したりしてはいけません。しばらくは旧サーバーにもメールが届くので、旧サーバーを解約するとそれらのメールがエラーとなり送信元にもどってしまうのです。

旧サーバー側にメールが届かなくなったことを確認してから、旧契約を解約する必要があります。

メールサーバーの切り替えは、アクティブユーザーが少ない時間帯におこなうのがベスト

前述のように、メールサーバー切り替え直後は一時的に新サーバーだけでなく旧サーバーにもメールが届きます。そのため現場では「切り替え後からメールが届かない」といったトラブルが発生しやすいのです。

トラブルを避けるには、アクティブユーザーが少ない時間帯にメールサーバーの切り替え作業をおこなうことが推奨されます。一番よいのは、休みに入る前日の夜に切り替え作業をおこなうことです。

たとえば全社的に土日が休みなのであれば、金曜日の夜に切り替え作業をおこないます。そうすると、翌週月曜日の始業までに50~60時間程度は経過するので、そのあと送られたメールの多くは新サーバーに届くと考えられるのです。

その前に送られたメールは旧サーバー側に届く可能性が高いため、旧サーバー側の設定をすぐに消してよいわけではありません。それでも切り替え直後に比べると、トラブルは避けやすいでしょう。

メールサーバーの移行手順

メールサーバーの移行でメール消失などの被害を生じさせないようにするためには、手順を確認しておくことが重要です。以下、メールサーバーのおおまかな移行手順を解説します。

【STEP1】移行先メールサーバーにてメールアドレスを作成する

まずは移行先メールサーバーにて、移行元と同じメールアドレスを作成します。方法は移行先のサービスによって異なりますが、専用のコントロールパネル上で作成するのが一般的です。具体的な方法については、ご利用のサービスが用意しているマニュアルを参照ください。

移行先がKAGOYAメールプランの場合

KAGOYAメールプランの場合も、専用のコントロールパネル上で移行元と同じメールアドレスを作成できます。作成したいメールアドレスが多い場合は、CSV形式で一括作成することも可能です。

当社サーバーに同じメールアドレスを設定 | 他社からのメールサーバー移転ガイド

【STEP2】従業員のメールソフトに、移行先用のメールアカウントを追加する

従業員のメールソフトに、移行先用のメールアカウントを追加するステップです。もとからあったメールアカウントを残しておくことで、移行時に発生しやすいメールの取りこぼしを防げます。

具体的な方法は、メールの運用方法ごとに以下のとおり異なるので注意しましょう。
なお、メールソフトに設定する情報については、移行先サービスによって異なります。KAGOYAの場合であればサポートページにてご紹介の様にいくつか注意点がありますので、併せて確認しておきましょう。

>セキュリティ万全の国産メールサーバー【KAGOYAメールプラン】

POP接続にてメールソフトでメールを受信していた場合

メールソフトに受信(POP)サーバー・送信(SMTP)サーバーの情報を登録して、新しいメールアカウントを作成します。詳しい情報については移行先サービスのマニュアルで確認ください。移行先メールサーバーにて受信するメールは、新しいメールアカウントにて受信できます。

なお移行元メールサーバーで受信したメールについては、旧サービスで使っていたメールアカウントにて確認が可能です。新しく作成したメールアカウントで確認したい場合は、メールソフトにてメールを移動・コピーします。一般的にはフォルダ内のメールを選択し、ドラッグ&ドロップなどをおこなえば移動・コピーが可能です。

IMAP接続にてメールソフトでメールを参照していた場合

メールソフトに受信(IMAP)サーバー・送信(SMTP)サーバーの情報を登録して、新しいメールアカウントを作成します。詳しい情報については移行先サービスのマニュアルで確認ください。移行先メールサーバー宛に届いたメールは、新しいメールアカウントにて参照できます。

IMAP接続にてメールを参照していた場合、サービスを解約すると過去メールはメールソフトに残りません。そのため、移行元のサービスを解約する前に新しく作成したアカウント側へメールを移動しておく必要があります。一般的にはメールソフト上で、旧アカウント側から新アカウント側へドラッグ&ドロップ操作にてメールの移行が可能です。

Webメールにて、サーバー上のメールを参照している場合

それまでWebメールでしかサーバー上のメールを参照していなかった場合、そのままでは過去メールを移行先へ移せません。移行元サービス解約後も過去メールを残しておくためには、以下の対応をおこないます。

  1. メールソフトにて、移行元サービス用のメールアカウントを作成する※設定するアカウントはPOP接続・IMAP接続のどちらでもよい
  2. 移行元サービスを解約する前に、メールソフトにて移行元メールサーバー宛に届いたメールを取り込んでおく
  3. IMAP接続を選んだ場合、メールソフトにて過去メールを移行先用に作成したメールアカウント側のフォルダへコピーしておく
移行先がKAGOYAメールプランの場合

メールソフトごとの設定については、以下マニュアルページにて確認できます。
メールソフトの設定 – KAGOYA Internet Routing

【STEP3】メールアドレスに関するDNS情報を移行先のものに切り替える

移行元・移行先メールサーバーの切り替えは、DNS情報を変更することで実行するのが一般的です。具体的には、DNSのMXレコードを以下のように切り替えます。

■切り替え前

example.co.jp IN MX 移行元メールサーバー用のMXレコード

■切り替え後

example.co.jp IN MX 移行後メールサーバー用のMXレコード

DNS情報の切り替えにて、メールサーバー移行の作業は完了です。順次、メールが移行先メールサーバー側へ届き始めます。

KAGOYAのメールプランの場合であればMXレコードは以下の通りで、コントロールパネルから設定が可能です。

レコードメールサーバー名
MXレコードdmail.kagoya.net.
DNS情報の切り替え | 他社からのメールサーバー移転ガイド

【STEP4】移行作業完了に伴い、適宜移行元メールサーバーを解約する

前述のとおり、メールサーバーの切り替えが終わっても最大で数日間は移行元メールサーバーへもメールが届きます。そのため切り替え完了後すぐに旧サービスを解約すると、その後に移行前メールサーバーに届いたメールが参照できなくなってしまうのです。

移行前メールサーバーにメールが届かなくなったのを見届けてから、移行元メールサーバーを解約する必要があります。

【STEP5】必要に応じて利用ドメインのネームサーバーも変更する

以下の条件にあてはまる場合は、必要に応じて利用ドメインのネームサーバーも変更します。

  • メールサーバーだけでなく、Webサーバーなど利用ドメインを使用する全てのサーバー・サービスが移行する場合
  • 移行元のネームサーバーでDNS情報の切り替えができず、他に切り替える必要がある場合

ネームサーバーの切り替えが必要か否かは、お使いのドメインやネームサーバーの契約によります。

例えば、KAGOYAで取得したドメインをKAGOYAのメールプランで利用する場合であれば、ネームサーバーの変更をせずとも自動反映します。
しかし、別サービスで利用していたドメインをKAGOYAのメールサーバーで利用する場合は、以下に記載のKAGOYAのネームサーバーの変更が必要になります。

ネームサーバー1ns0.kagoya.net
※ IPアドレスが必要な場合は、210.134.60.132
ネームサーバー2ns1.kagoya.net
※ IPアドレスが必要な場合は、203.142.206.132
KAGOYAのネームサーバー情報

メールサーバー移行後、適宜必要となる設定

メールサーバーの切り替えや移行作業が終わっても、必ずしも従来とおりメールが使えるようになるとは限りません。迷惑メールフィルタやメール転送設定、Webメールの設定などもおこなう必要がある場合もあります。

実際にどのような作業が必要になるかは、移行先サービスのサポートなどへ問い合わせて確認ください。

また移行前から「送信ドメイン認証」による対策をおこなっており移行後も継続する場合、専用のDNS情報登録などの作業が必要になります。

必要な作業がすんでいないと、移行後から送信ドメイン認証がおこなわれなくなってしまうので注意が必要です。送信先メールサーバーによっては、送信ドメイン認証が適切におこなえない送信元からのメールを拒否する場合もありますので、必ず確認するようにしましょう。

セキュリティ対策万全の専用メールサーバー

KAGOYAのメールプランにはメールサーバー1台を専有できるだけではなく、ビジネス利用には必須となっているSPF/DKIM/DMARCがすべてコンパネから簡単設定が可能なタイプを取り揃えています。
さらにメールアドレス数は無制限で高い法人利用率をほこる高コスパなプランとなっています。

メールサーバー移行時によくあるトラブル例と対応策

メールサーバー移行時によくあるトラブルとして、以下があげられます。

  • メールの送受信ができない
  • 移行先のメールサーバーへメールが届かない
  • 過去のメールが参照できない

ここでは、これらトラブルの原因や対応策をみていきましょう。

メールの送受信ができない

メールの送受信ができない場合、メールアドレスの作成が漏れているか、メールソフトの設定に誤りがある可能性があります。管理画面などでメールアドレスが作成されているか、メールソフトの設定が正しいか改めて確認しましょう。

移行先のメールサーバーへメールが届かない

移行先のメールサーバーへメールが届かない場合、以下の原因が考えられます。

  • DNS情報の切り替えが完了していない
  • 新しいDNS情報が伝播していない
  • 移行先にてメールアドレスが作成されていない

まずはMXレコードが正しく設定されているか、メールアドレスが正常に作成されているか確認しましょう。

MXレコードの設定が正しい場合、DNS情報が伝播していない可能性も考えられます。特にメールサーバー切り替え直後は、すぐに全てのメールが移行先メールサーバーへ届くわけではありません。DNS情報が伝播するまで、しばらく待ちましょう。

全てのメールが移行先メールサーバーへ届くようになるまで、最大で数日間かかる可能性があります。ただし数時間~1日程度経過しても移行先メールサーバーへ届かない場合、DNS情報の伝播だけが原因とは考えにくいです。サポートへ問い合わせて、メールサーバーに障害がないかなどを確認しましょう。

過去のメールが参照できない

過去メールを参照できない場合、メールソフトでメールのコピー・移動といった作業が完了していない可能性があります。移行前からIMAP接続でメールを参照していた場合、サービス解約までにコピー・移動作業が必要です。

サービス完了までに作業が完了しないと、過去メールが削除され参照できなくなってしまうので注意が必要です。

また移行前はWebメールでのみメールを参照していた場合、そのままでは過去メールは消えてしまいます。移行後もメールを読むには、POP接続・IMAP接続にてメールを受信しておくことが必要です。IMAP接続の場合は、メールソフトにてコピー&ドラッグなどの操作をおこない、旧メールを新メールアカウント側へ移します。

まとめ

メールサーバーの移行では、過去メールをどう移行させるかを把握しておく必要があります。また移行先メールサーバー用のDNS情報が伝播するまで、最大数日間は移行元にもメールが届くことを覚えておきましょう。

これら知識を把握して、正しい手順ですすめればメールサーバー移行で失敗することはありません。またメールサーバー移行にあたり、迷惑メールフィルタや送信ドメイン認証などの設定も適宜おこなう必要があります。

ビジネス利用のメールの場合は非常に重要な作業になりますので、どうしても内製では心配だという場合はKAGOYAで提供している「サーバー乗り換え安心おまかせパック」といった代行サービスを利用するというのも一つの手です。

企業によっては、メールサーバー移行の成否で今後の事業が左右される可能性もありますので、確実性のある選択をしましょう。

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