
2024年9月に、マイクロソフトはWindowsサービスへリモート接続をするためのアプリ「Windows App」をリリースしました。
これまで各種Windowsサービスへリモートから接続するには別々のアプリが使われていましたが、これからはWindows Appに集約されます。そのため「社内のWindows PCへリモートから接続するには今後どうすればいい?」と気になっている方も多いでしょう。
この記事ではWindows Appの概要や特徴、リモートのWindows PCへ接続するため今後どうすればいいかを解説します。引き続きWindowsサービスへリモート接続をするためにも、Windows Appの概要を把握しておきましょう。
目次
2024年9月、マイクロソフトは新リモート接続アプリ「Windows App」をリリース
マイクロソフトは、さまざまなWindowsサービスへセキュアにアクセスするための新リモート接続アプリ「Windows App」を、2024年9月にリリースしました。これまでリモート接続をおこなうWindowsサービスごとに別々のアプリが使われていましたが、今後はWindows Appに統合されることになります。
多くのユーザーがリモートのWindows PCに接続するのに使っていたリモートデスクトップアプリも、将来的にはWindows Appに統合されるでしょう。2025年5月には、Microsoft Storeからダウンロードが可能なWindows用リモートデスクトップアプリはサポート対象外となります。同アプリは、2025年5月以降にダウンロード・インストールができなくなるのです。
Windows Appとは | Windowsサービスへセキュアに接続するためのゲートウェイ
Windows Appとは各種Windowsサービスへ、セキュアに接続するためのゲートウェイアプリです。
これまでは、それぞれのWindowsサービスへ接続するのに別々のアプリが使われており、接続先によってアプリを切り替えていました。今後はアプリを切り替えることなく、Windows AppにてWindowsサービスへ接続できるようになります。
Windows Appで接続が可能となる、Windowsサービスの種類は以下のとおりです。
- Azure Virtual Desktop
- Windows 365
- Microsoft Dev Box
- リモートデスクトップサービス
- リモートPC
Windows Appの主な特徴
Windows Appの主な特徴として以下があげられます。
特長 | 詳細 |
---|---|
Windowsサービスへの セキュアな接続 | Azure Virtual Desktop、Windows 365、Microsoft Dev Box、 リモートデスクトップサービス、リモートPCへセキュアに接続するゲートウェイとして動作する |
リモート エクスペリエンスの強化 | ・複数モニターをサポートし、作業効率を向上できる ・ユーザーニーズにあわせ、ディスプレイの解像度を設定できる ・Webカメラ・オーディオ、ストレージデバイス、プリンターなどのデバイスへリダイレクトできる ・Microsoft Teamsを最適化し、リモートワークのコミュニケーションを円滑化する |
マルチメディア機能 | ・ビデオ再生のマルチメディアリダイレクトによって、高品質なビデオ再生をサポート ・WebRTCやSlimCoreによってMicrosoft Teamsメディアを最適化し、会議などの通話品質を向上させる |
Windows Appを利用可能なプラットフォームの種類
Windows AppはWindows以外のプラットフォームでも利用できます。Windows Appが利用できるプラットフォームの種類と、各プラットフォームから接続できるサービスの種類は以下のとおりです。
Windows | macOS | iOS/iPad OS | Android/Chrome OS | Webブラウザ | Meta Quest | |
---|---|---|---|---|---|---|
Azure Virtual Desktop | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
Windows 365 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
Microsoft Dev Box | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
リモートデスクトップ サービス | ×※1 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
リモートPC | ×※2 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
※1) Windows上のリモートデスクトップサービスに接続するには、引き続きWindowsの リモートデスクトップアプリを使用
※2) Windows上のリモートPC に接続するには、Windowsに付属するリモートデスクトップ接続アプリ (MSTSC)を引き続き使用
今後、社内にあるWindows PCへリモート接続するにはどうすればいい?
Windows Appリリースについて、多くの方が気になっているのは「今後リモートのWindows PCに接続するにはどうすればよいか」という点でしょう。出先や自宅などから手元のPCを使い、社内にあるWindows PCへリモート接続をしていた方は多いと想定されます。
将来的には社内にあるWindows PCへ接続する際も、Windows Appを使うことになるでしょう。しかし上記表にも記載したように、2025年4月時点でWindows PC用のWindows Appには、以下へリモート接続する機能がありません。
- リモートデスクトップサービス(Windows Server上のリモートデスクトップへの接続用)
- リモートPC(リモートにあるWindows PCへの接続)
そのためWindows PCからリモートデスクトップサービスへアクセスする際は、従来通りWindowsのリモートデスクトップアプリを使います。また社内のWindows PCへリモート接続する際も、従来通りWindows標準搭載のリモートデスクトップアプリ(mstsc.exe)を利用可能です。
なお、2025年5月27日には、Microsoft Storeからダウンロードできる「リモートデスクトップアプリ」のサポートが終了します。ただし、これは上記2つのリモート接続と関係がありません。
Microsoft Storeの「リモートデスクトップアプリ」は、MicrosoftのマネージドVDI環境(Windows 365・Azure Virtual Desktop・Microsoft Dev Box)へアクセスするためのクライアントアプリです。
Windows Appの入手方法
各OSにてWindows Appは簡単に入手が可能です。以下、OSごとにWindows Appの入手方法をみていきましょう。
Windows | Microsoft Storeからダウンロード |
macOS | Mac App Storeからダウンロード |
iOS/iPadOS | App Storeからダウンロード |
Android/Chrome OS | Playストアからダウンロード |
まとめ
Windows Appは、Windowsサービスへセキュアにリモート接続をするためのゲートウェイアプリです。Windows Appは各種Windowsサービスへのセキュアなリモート接続を実現するほか、リモートエクスペリエンスへの強化、複数アカウントの簡易的な切り替えなどに対応します。
ただしWindows Appは2025年4月時点で、Windowsで利用する場合はWindowsのマネージドVDIサービスにしか対応していません。社内のWindows PCへのリモート接続をはじめとして、しばらくは従来から提供されていたアプリを継続して使用することになるのです。今後Windows AppがどのようにWindowsサービスへ対応していくか注目していきましょう。