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メールサーバーを自社構築するための基礎知識・メリット・デメリットを徹底解説

公開
自社でメールサーバーを構築する方法

メールサーバーを利用する際に、自社で構築するか既存のサービスを利用するか迷うところです。自社でメールサーバーを構築することのメリットは多いですが、コストがかかる、管理者の負担が大きいなどのデメリットもあります。またメールサーバーを自社構築するか否かを適切に判断する際は、メールサーバーに関する最低限の知識も把握しておくことが必要です。

本記事では、メールサーバー構築にあたり必要となる基礎知識、メールサーバーを自社構築するメリット・デメリット、外部サービスを使う際の選び方を解説します。本記事を読めば自社でメールサーバーを構築するべきか判断できるようになるでしょう。また外部サービスを使う場合は、自社にあうサービスを適切に選定できるようになります。

目次

自社でメールサーバーを構築する際に知っておくべき基礎知識

自社でメールサーバーを構築・運用するのであれば、仕組みやメールセキュリティの重要性について把握しておくことが求められます。また自社でメールサーバーを運営する場合に、どのようなトラブル対応をする必要があるかも把握しておきたいところです。

以下、それぞれみていきましょう。

メールサーバーの仕組み

メールサーバーの仕組みの図解

名称概要
MTA
(メール転送エージェント)
メールを宛先のメールサーバー(MTA)へ転送するソフトウェア
MSA
(メッセージサブミッションエージェント)
メール送信時にメール送信者の認証をおこない、MTAへメールを転送するソフトウェア
MDA
(メール配信エージェント)
MTAからメールを受け取り、ユーザーのメールボックスへ配信するソフトウェア
MRA
(メール取得エージェント)
ユーザーがメールボックス内のメールを参照するための機能を提供するソフトウェア
メールサーバーに含まれる主なソフトウェア
ユーザーがメールを送信してから相手が受信するまでの流れ
  1. ユーザーがメールソフトを使い、メールを送信する
  2. MSAがメール送信者の認証をおこないMTAへメールを転送する
  3. MTAがメールを受け取り、宛先側のメールサーバー(MTA)へメールを転送する
  4. MDAがMTAからメールを受け取り、ユーザーのメールボックスへメールを格納する
  5. ユーザーがMRAを経由してメールボックスからメールを受信する

ひとくちにメールサーバーと言っても、単一のソフトウェアや要素によって成り立っているわけではありません。上図のように、複数のソフトウェアやユーザー宛のメールを保存するメールボックスなどにより構成されているのです。

メールサーバーというとき、メールを送信側のサーバーへ転送するMTAを指すこともあります。一方でメール送受信に必要な上記ソフトウェアの組み合わせやメールボックス全てを含め、メールサーバーと呼ばれることも多いです。後者は広義のメールサーバーといえるでしょう。

自社でメールサーバーを構築する際は、これらソフトウェアやメールボックス全てを運用する必要があります。

メールセキュリティの重要性

メールセキュリティとは、メールを介したセキュリティリスクを防ぐための対策です。

近年メールの利用が関わるセキュリティ事故・サイバー攻撃が頻発しており、ニュースなどでもたびたび取り上げられています。メールセキュリティ対策が不十分で、個人情報の漏えいや業務停止などの被害が発生する例は少なくありません。その結果、企業は膨大な経済的損失を被ったり、社会的信用を失ったりしてしまう可能性があるのです。

自社でメールサーバーを運用する場合は、メールセキュリティ対策もおこなわなくてはなりません。

メールによる主なセキュリティリスクの種類

昨今問題となっているメールによる主なセキュリティリスクとして、以下があげられます。

項目概要
マルウェア
(ランサムウェア)感染
マルウェアを添付したメールを従業員へ送るなどして、企業内部に侵入する攻撃が増えています。
なかでも、ここ数年で特に増えているのがランサムウェアによる攻撃です。
ランサムウェアは企業内部のシステムや重要データを暗号化して使えない状態にします。
そうして暗号化解除の代わりに高額な身代金を要求するのです。
メール誤送信人的ミスによるメール誤送信で、個人情報・機密情報が漏えいする例も少なくありません。
顧客情報が漏えいした場合は、顧客だけでなく社会的な信用を失うことにもなります。
メールアカウント
乗っ取り
従業員のメールアカウントが乗っ取られ、
過去のメールやアドレス帳から機密情報・個人情報が漏えいするケースもあります。
メールの盗聴・改ざんメールの通信経路に悪意のある第三者が入り込み、
メールの内容が盗聴されたり改ざんされたりするリスクもあります。
メールによる主なセキュリティリスクの種類

メールセキュリティを強化するための主な対策

メールセキュリティを強化するため、自社でメールサーバーを運用する場合は対策をしなくてはなりません。よくおこなわれるメールセキュリティ対策として、以下があげられます。

項目概要
アンチウイルス・
迷惑メールフィルタ
アンチウイルス・迷惑メールフィルタは
ウイルス付メールや有害メールから従業員を守るための機能です
メール本文・
添付ファイル暗号化
メールの本文や添付ファイルを暗号化し、
盗聴や改ざんを防ぐための機能です
メール誤送信防止機能メール送信前に注意を促したり、
送信を一時保留したりして誤送信を防ぐ機能です
送信ドメイン認証自社から送信されたようになりすましたメールを、
送信先が見分けられるようにする機能です
メールセキュリティを強化するための主な対策

自社でメールサーバーを運用する際は、こういった機能の導入も検討する必要があります。

メールサーバーでよくあるトラブル

メールサーバーの運営では、いろいろなトラブルが発生する可能性があります。自社でメールサーバーを運営する場合は、これらトラブルも自社で対応・解決しなくてはなりません。

項目概要
メールサーバーの停止障害などによりメールサーバーが停止してしまう場合があります。
メールサーバーが停止すると、従業員はメール送受信ができません。
その結果、メールを使う業務も停止することになります。
メールの不達自社から送信したメールが宛先へ届かなかったり、外部から送られたメールが自社の従業員に届かなかったりすることもあります。
従業員からメールが不達している旨の報告を受けた場合、管理者はその原因を調査し問題を解決しなくてはなりません。
メールボックス容量不足メールボックスの容量が満杯となり、従業員宛のメールが届かなくなるトラブルです。
この場合、従業員宛に送られたメールはエラーとなり送信元に戻ってしまいます。
メール大量送信自社の従業員が外部へメールを大量に送信することも適宜規制しなくてはなりません。
送信件数や宛先によってはメールが拒否されてしまいます。
大量送信が原因で、自社から送られるその他のメールが、迷惑メール判定されやすくなることも少なくありません。
メールサーバーの運営でよくあるトラブルの例

自社でメールサーバーを構築するメリット

手間をかけて自社でメールサーバーを構築・運用しなくても、既存のメールサーバーサービスを契約すればメールを利用できます。それでは既存サービスを使わずに、自社でメールサーバーを構築するとどのようなメリットがあるでしょうか。以下、主なメリットをひとつずつみていきましょう。

自由にカスタマイズが可能

自社でメールサーバーを構築する場合は、設定や機能を自由にカスタマイズ可能です。メール容量やメール送信に関する制限、ユーザーの権限なども自社の任意で決められます。

自社の要件に合うメールセキュリティを確保しやすい

メールセキュリティに高い要件を求められても、自社でメールサーバーを構築するのであれば応じやすいです。たとえば自社でメールサーバーを構築するのであれば、外部から遮断された閉域網内でシステムを運用することもできます。外部のメールサーバーを利用する場合、求めるセキュリティ要件を満たせない可能性も否定できません。

メールサーバー構築・運用のノウハウを自社に蓄積できる

自社でメールサーバーを構築・運用する場合、そのノウハウを自社内で蓄積できます。その結果、より自社の要望にあう設定に改善したり運用を効率化したりすることもできるようになるのです。

自社でメールサーバーを構築するデメリット

自社でメールサーバーを構築するデメリットも少なくありません。メールサーバーを自社で構築するならこれらデメリットの対策が可能な知識・ノウハウを確保しておくことが求められます。それができなければ、自社でのメールサーバー構築はおすすめできません。

以下、自社でメールサーバーを構築するデメリットをひとつずつみていきましょう。

メールサーバーの構築・運用にかかるコストや負担が膨大になりやすい

自社でメールサーバーを構築する場合、そのための機器やネットワーク、セキュリティを全て自社で確保しなくてはなりません。また、それらの設定や運用も全て自社の管理者がおこなう必要があります。その分、構築や運用にかかるコストや負担が膨大になりやすいです。

メールサーバーの運用に高い専門知識が問われる

メールサーバーの構築やメールセキュリティの設定を全て自社でおこなう場合、高い専門知識を持った管理者が必要です。また、サーバーやセキュリティは常に進化し続けているため、継続的な知識のアップデートや学習も求められます。

トラブルやセキュリティリスクが発生しても対処が遅れる可能性がある

自社に高い専門知識を持つ管理者が不足していた場合、トラブルやセキュリティリスクが発生しても対処が遅れる可能性があります。その結果、メールを使う業務に遅れが生じたり、セキュリティリスクによる被害が大きくなったりすることが考えられるのです。

自社でメールサーバーを構築する大まかな流れ

自社でメールサーバーを構築し、運用を開始するまでの大まかな流れは以下の通りです。

  1. サーバー機器の確保とOSインストール
  2. ネットワーク設定(固定IPアドレスやホスト名)
  3. ルーター・ファイアウォールの設定
  4. メールサーバー用ソフトウェアのインストール
  5. メールサーバー用ソフトウェアの設定
  6. DNSの設定
  7. 各種メールセキュリティの設定
  8. Webメール用ソフトウェアのインストール
  9. Webメール用ソフトウェアの設定
  10. 管理ツール(GUI)のインストール
  11. 管理ツールの設定
  12. メールアカウントの作成

自社でメールサーバーを構築・運用する場合は、この流れを全て社内でおこなう必要があります。

自社でのメールサーバー構築を検討するとよいケース

昨今では多くの企業が、メールサーバーの構築・運用を外部へアウトソースしています。自社でメールサーバー構築を検討すべきケースは限られるのです。以下、自社でのメールサーバー構築を検討するとよいケースをみていきましょう。

自社の環境に合わせメールサーバーを自由にカスタマイズしたい

自社でメールサーバーを構築するなら、サーバー選定やネットワークの構築から全て自社環境にあわせてカスタマイズが可能です。また自社の他システムとメールサーバーを連携させたいといった場合、他社サービスを使うと実現が難しいことが多いでしょう。その点、自社であれば実現しやすいです。

高度なセキュリティ要件が求められる

自社でサーバーを構築するのであれば、自社の機密情報を全て社内で保存できます。また高度なアクセス制限や侵入検知・ファイアウォールなどのセキュリティも、必要なだけ確保が可能です。

高度な専門知識をもつ管理者・担当部署が存在する

自社でメールサーバーを構築する場合、高度な専門知識を持つ管理者が必要です。またメールサーバーの運営を自社でおこなうのであれば、管理にかかる負担が大きくなるのは否めません。そのため、メールサーバー運営の負担が問題ないといえる管理者・担当部署の存在が必要です。

外部のメールサーバーサービスを利用すべきケース

昨今では中小企業をはじめ、多くの大企業も外部のメールサーバーサービスを利用しています。以下、外部のメールサーバーサービスを利用すべきケースをみていきましょう。

外部メールサーバーサービスが自社のニーズを満たす

ひとくちにメールサーバーサービスといっても、多くの選択肢があります。それらサービスの概要をチェックして自社のニーズに合うようであれば、膨大なコストと手間をかけ自社で構築する必要はありません。

外部メールサーバーのセキュリティが自社の要件に合う

メールサーバーは多くの機密情報・個人情報を扱うことになるため、セキュリティの要件が厳しく求められます。そのため企業向けのメールサーバーサービスでは、セキュリティを重視しているケースが多いです。サービスのセキュリティが自社要件にあえばそのサービスを選んでも問題ないでしょう。

自社に高い専門知識をもつ管理者がいない

メールサーバーの構築・運用には高い専門知識が求められます。自社に適当な管理者や担当部署が存在しないのであれば、自社でのメールサーバー構築・運用は困難で現実的ではありません。

メールサーバーの運用に手間をかけられない

メールサーバーの運用には負担がかかります。特に何がしかの問題が発生した際は、管理者がトラブルの解決に専念せざるを得なくなることも少なくないでしょう。業務でメールを使う企業が多いため、メールが使えなくなれば業務も滞ってしまうためです。管理者がメールサーバー運用に手間をかけられないなら、外部のサービスを使った方がよいでしょう。

メールサーバー構築・運用のコストをかけられない

自社でメールサーバーを構築・運用するのであれば、サーバー機の購入などでコストがかかります。サーバーの運用にかかる人件費も小さくはありません。そのためメールサーバー構築・運用のコストを節約したいときは、外部サービスを選ぶべきです。

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KAGOYAのメールプランでは、440円/月~と安価な金額でアドレス数無制限でご利用いただけます。
もちろんアンチウィルスチェック、迷惑メール対策など複数のセキュリティ機能も充実のメールプランです。

メールサーバーサービスの選び方

数あるメールサーバーサービスのなかで、自社にあうものを選ぶためには選定のポイントをおさえておくことが必要です。以下、メールサーバーサービスを選ぶ際のポイントをみていきましょう。

メールアカウント数

サービスやプランごとに作成可能なメールアカウント数は異なります。自社で必要となるメールアドレス数を考慮して、メールアカウント数は余裕を持っておきたいところです。新入社員が増えるたびに、必要なメールアカウント数も増え続けます。

また、サービスによってはメールアカウント数に対して課金が発生する料金形態もあるため、その点も事前に把握しておく必要があります。

ディスク容量

メールサーバーに保存できるメール容量も、サービスによってそれぞれです。昨今ではメールサーバーに過去のメールを残したままにしておくケースが多くなっています。

仮にディスク容量を消費しきってしまうと、新しいメールを受け取れなくなる点は注意が必要です。そのためディスク容量も、十分に確保しておくことが求められます。たとえば従業員数が50人いて、それぞれ1GBずつの容量を確保するのであれば、合計50GBのディスク容量が必要です。

機能性

機能性もサービスによってさまざまです。
たとえば以下にあげる機能の有無や可否は、サービスによって異なります。

  • メール転送やメール自動返信は可能か
  • ユーザーの権限(転送設定・パスワード設定)を管理できるか
  • ユーザーごと/メールアドレスごとにディスク容量を変更できるか
  • メーリングリストは使えるか
  • メールアドレスを管理者が一括で作成・変更できるか、など

自社が求める機能を備えているかは、メールサーバーサービスを選ぶ際に欠かせないポイントです。

スマートフォンでの利用

スマートフォンで快適にメール送受信が可能なWebメールを備えるかも、メールサーバーサービスで確認すべきポイントです。

営業担当などが、外出先でスマートフォンを使いメールを送受信する機会は少なくないでしょう。その際、Webメールが使われることが多いですが操作性にはサービスによって差があります。

Webメールの操作画面がわかりやすく使いやすいかも、メールサーバーサービス選びの重要なポイントです。

セキュリティ

メールサーバーサービスを安心して使うには、セキュリティに関する機能が充実している必要があります。以下にあげるように、メールサーバーに求められるセキュリティ機能は非常に多いです。

ウイルスフィルタ・
迷惑メールフィルタ
ウイルス付のメールや迷惑メールからユーザーを守るための機能
クライアント・
ユーザー間の暗号化通信
クライアントとメールサーバー間の通信を暗号化し盗聴を防ぐ機能
メール通信経路の暗号化メールサーバー間の通信を暗号化し盗聴を防ぐ機能
メール接続元のIPアドレス制限メールサーバーにアクセスできるIPアドレスを制限し、メールアドレスの乗っ取りによる被害を防ぐ機能
なりすましメール対策自社から送信したメールかなりすましメールかを、送信先が明確に区別できるようにするための機能
添付ファイルのダウンロード機能
(脱PPAP対策)
送信メールに添付されたメールをWebなどからダウンロードできるようにして、安全に宛先へ届けるための機能
メール誤送信対策宛先を誤るなどしてメールが誤送信されてしまうのを予防するための機能
メールアーカイブ過去メールを専用の領域で保存し、管理者などがあとでチェックできるようにするための機能
メールサーバーに求められるセキュリティ機能の例

これら機能を備え、安全に使えるかどうかはメールサーバーサービス選びの際に必ず確認すべきポイントです。

サポート体制

サポート体制の充実度もサービスによって差があります。

  • トラブル発生時に管理者が問い合わせできる窓口はあるか
  • サポート手段はメールのみか電話での問い合わせも可能か
  • サポートの対応時間は何時から何時までか
  • メールサーバー移行やメール設定を代行してもらえるか

メール利用時に問題が発生し、サポートに問い合わせる必要があるケースもあります。そんなときサポート体制が十分でなければ、解決できなかったり解決に時間がかかったりするのです。できるだけサポート体制が充実したサービスをえらぶとよいでしょう。

予算

サービスによって初期費用・月額費用などに大きな差があります。自社の予算に合うサービスを選びましょう。

なお、より品質の高いサービスが料金も高くなることが多いですが、高額なサービスが必ずしも品質が高いとはいえません。反対にリーズナブルなサービスでも、一定以上の品質を確保できている種類も多いです。

自社の予算にあうサービスのなかで、自社のニーズを満たしできるだけ品質のよい種類を選びましょう。

まとめ

自社でメールサーバーを構築することで、自由にカスタマイズができるうえに高いセキュリティ要件を満たすことが可能です。しかし自社でメールサーバーを構築する場合は、その構築・運用にかかるコストや工数は膨大になると想定されます。メールサーバーの構築・運用には、高度な専門知識を持つ管理者も必要です。

一方、昨今では、高い機能性・セキュリティ性を誇る外部のメールサーバーサービスも数多く登場しています。それらサービスが自社のニーズ・要件にあうことも少なくないでしょう。他社メールサーバーサービスを使えば、自社のコスト・負担を大幅に軽減できる可能性も高いです。

そのため、メールサーバーの構築や乗り換えを検討している場合、まずは外部メールサーバーサービスを検討することをおすすめします。そのうえで、どうしても外部サービスが自社のニーズ・要件に合わないようなら改めて自社構築の可能性を検討するとよいでしょう。

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