
「サーバーを発注したのに納期が半年以上先」「見積もりを取るたびに価格が上がっている」——近年、こうした声を耳にする機会が増えています。法人向けサーバーの価格高騰と納期遅延は一時的な現象ではなく、構造的な要因によって長期化する可能性が指摘されています。
本記事では、なぜサーバーの調達が難しくなっているのか、その背景と企業への影響を解説したうえで、この状況下で検討できる対策を紹介します。とくに、在庫を確保しやすいベアメタルサーバーという選択肢についても取り上げます。

今、法人向けサーバーに何が起きているのか
まずは、現在サーバー調達の現場で実際に起きている状況を整理します。「価格が上がっている」という漠然とした印象だけでなく、納期・価格の両面でどの程度の変化が生じているのかを具体的に把握しておくことが、対策を検討するうえでの第一歩になります。
サーバーの納期が数ヶ月〜1年に長期化している実態
法人向けの汎用サーバーは、発注から納品までのリードタイムが従来と比べて大幅に延びています。サーバーに搭載するメモリー(DRAM)を中心に、部材の調達自体が難航しており、メーカー・販売店側も納期を確約しにくい状況が続いています。
これまでであれば数週間〜1ヶ月程度で納品されていた構成であっても、現在は数ヶ月から場合によっては1年近く待つケースも出てきています。とくにメモリーを多く搭載するハイスペック構成や、特定のCPU・ストレージを指定する構成では、リードタイムがさらに延びる傾向にあります。
また、見積もりを取得してもその内容が長期間有効とは限らない点にも注意が必要です。部材価格の変動が激しいことから、見積もりの有効期限が短く設定されているケースも増えており、「検討している間に価格が変わってしまう」という事態も珍しくありません。
価格上昇はどこまで続く?直近の値上がり傾向
価格面についても、上昇傾向に歯止めがかかっていません。サーバーの主要部材であるメモリーの契約価格は四半期ごとに二桁台の上昇率で推移しているとの報道もあり、サーバー本体価格への転嫁が続いています。
メーカー各社は法人向けPCやサーバーの価格改定に踏み切っており、今後も同様の値上げが繰り返される可能性があります。「様子を見てから発注しよう」と先送りにした結果、さらに価格が上がった状態で発注せざるを得なくなる、という声も少なくありません。
現時点では、価格上昇のペースが今後大きく鈍化する明確な見通しは立っていません。少なくとも短期的には、価格・納期ともに厳しい状況が続くことを前提に、調達計画を立てる必要があるといえるでしょう。
中小企業ほど影響を受けやすい理由
今回のサーバー調達難は、企業規模を問わず影響が及んでいますが、とくに中堅・中小企業への影響が大きいと指摘されています。
大企業であれば、複数のベンダーと長期契約を結んでいたり、あらかじめ大量に部材を確保していたりするケースもありますが、中小企業ではそうした調達力を持つことが難しいのが実情です。結果として、システムの新規導入や更新のタイミングで急にサーバーが必要になった際、価格・納期両面で厳しい条件を受け入れざるを得ない状況に陥りやすくなっています。
また、IT部門の人員が限られる中小企業では、こうした市況の変化を事前に把握し、調達計画に反映させること自体が難しいという課題もあります。
なぜサーバー価格が高騰し、納期が遅れているのか

ここまで紹介してきた価格高騰・納期遅延は、なぜ起きているのでしょうか。背景には、サーバーの中核部品であるメモリー(DRAM)をめぐる需給構造の変化があります。
主因はメモリー(DRAM)価格の高騰
サーバーの価格高騰・納期遅延の主因として挙げられているのが、メモリー(DRAM)の価格高騰です。サーバーの原価に占めるメモリーの割合は決して小さくなく、メモリー価格の上昇がそのままサーバー本体の値上げに直結します。
さらに、価格だけでなく供給量自体もひっ迫しています。メモリーメーカーの生産能力には限りがあるため、需要が急増すると価格の上昇に加えて、納期の長期化という形でも影響が現れることになります。
生成AI・データセンター向けHBM需要が汎用DRAMを圧迫している構造
メモリー需給がひっ迫している背景には、生成AIブームによるデータセンター向け需要の急拡大があります。AI向けの高性能GPUには、HBM(広帯域幅メモリー)と呼ばれる特殊なメモリーが大量に搭載されており、その需要が近年急速に拡大しています。
HBMは一般的なサーバー・PC向けのDDR5メモリーと比べて、同じウエハーから製造した場合の収益性が高いとされています。そのためメモリーメーカー各社は、生産ラインをHBM向けに振り向ける動きを強めており、結果として法人向けサーバーなどに使われる汎用DRAMの生産量が構造的に圧迫される状況が生まれています。
つまり、私たちが日常的に利用するサーバーの調達難は、AIデータセンターの建設ラッシュという、一見関係のないところにある需要と地続きの問題だといえます。
半導体メーカーの供給が短期間で解消しない見通し
メモリーメーカー各社は増産投資を進めているものの、半導体の生産設備増強には長い時間がかかるため、供給が急速に緩和される可能性は高くないとみられています。また、メモリーの調達契約の多くは長期契約に基づいており、一度結ばれた供給の優先順位や契約構造は短期間では変わりにくいという事情もあります。
こうした状況から、サーバーの価格高騰・納期遅延は今後も一定期間は継続する可能性が高く、企業側としても「いずれ落ち着くまで待つ」という姿勢だけでは対応しきれない局面に入りつつあります。
価格高騰・納期遅延が企業にもたらす具体的リスク

サーバーの価格高騰・納期遅延は、単に「調達コストが上がる」というだけの問題ではありません。企業のシステム運用計画そのものに、さまざまな形で影響を及ぼします。
システム更改・増設計画の遅延
サーバーの納期が読みにくくなることで、システムの更改や増設のスケジュールそのものが影響を受けます。「◯月にリプレイスを完了させる」という計画を立てていても、サーバーの納品が遅れれば、その後に控える構築・テスト・移行作業もすべて後ろ倒しになってしまいます。
とくに繁忙期やシステム更新の締め切りが決まっているプロジェクトでは、サーバーの納期遅延が事業全体のスケジュールに波及するリスクがあります。
Windows Server等のOS更新に間に合わないリスク
サーバー不足の影響は、OSのサポート期限との兼ね合いでも顕在化しています。Windows Serverなどの法人向けOSにはサポート終了時期が定められており、期限までに新しいハードウェアへの移行を完了させる必要があります。
しかし、サーバーの納期が長期化している現状では、サポート終了までにリプレイスが間に合わないケースも懸念されています。サポート切れの状態で旧サーバーを稼働させ続けることは、セキュリティリスクの観点からも望ましくありません。
見積の即時失効・価格固定不可による予算組みの難しさ
部材価格の変動が激しいことから、サーバーの見積もりが短期間で失効してしまう、あるいは発注時点でも価格が確定しないというケースも起きています。これは、企業の予算策定において大きな課題となります。
年度予算をあらかじめ確定させる必要がある企業にとって、「発注のタイミングで最終的な価格がいくらになるか読めない」という状況は、予算超過や稟議のやり直しといった事務的な負担にもつながりかねません。
企業がとれる一般的な対策

こうした状況に対し、企業はどのような対策を検討できるのでしょうか。ここでは、代表的なアプローチをいくつか紹介します。
既存サーバーの延命・保守契約の見直し
新規のサーバー調達が難しい時期は、既存サーバーを延命させるという選択肢があります。メーカーの延長保守を利用したり、保守専門ベンダーによる短期的な保守契約を結んだりすることで、リプレイスまでの「空白期間」に生じるリスクをカバーする方法です。
ただし、延命はあくまで時間を稼ぐための対策であり、根本的な解決にはなりません。いずれ訪れるリプレイスのタイミングを見据えつつ、並行して調達計画を進めておく必要があります。
発注の前倒し・在庫確保
価格・納期がこれ以上悪化する前に、必要な時期から逆算して早めに発注を確定させるという対策も有効です。とくに、必要な時期の半年〜1年程度前から構成を確定し、発注枠を確保しておくことで、直前になって調達に苦労するリスクを減らせます。
一方で、前倒し発注には一定の在庫リスクやキャッシュフローへの影響も伴います。計画的な需要予測とあわせて検討することが重要です。
クラウドへの移行
物理サーバーの調達自体を避ける方法として、クラウドへの移行も選択肢のひとつです。オンプレミスのサーバーをクラウド上の仮想サーバーに置き換えることで、ハードウェアの調達難という問題そのものから距離を置くことができます。
ただし、すべてのシステムがクラウドに移行できるわけではありません。以下のようなケースでは、クラウドへの移行が難しいことがあります。
- 物理サーバーへのライセンス割り当てを前提としたパッケージソフトを利用している※
- 基幹系システムなど、既存のハードウェア構成に強く依存した運用をおこなっている
- セキュリティ・コンプライアンス要件により、他社とリソースを共有しないサーバー環境が求められる
- 安定した処理性能が求められる高負荷なシステムを運用している
※KAGOYAのベアメタルサーバーではライセンスの持ち込みが可能です。
このように、オンプレミス環境をそのままの形で使い続けたい、あるいは使い続けざるを得ない企業も少なくありません。そうした企業にとって、パブリッククラウドへの移行は根本的な解決策にはならない場合があります。
在庫を確保しやすい選択肢としての「ベアメタルサーバー」という解決策
ここまで紹介してきたように、既存サーバーの延命や発注の前倒しには限界があり、パブリッククラウドへの移行もすべての企業に適した解決策とは限りません。こうした状況で選択肢のひとつとなるのが、物理サーバーをクラウドのように利用できる「ベアメタルサーバー」です。
KAGOYA FLEX ベアメタルサーバーとは
KAGOYA FLEX「ベアメタルサーバー」は、お客様専有の物理サーバーを月額定額料金で提供するサービスです。物理サーバーでありながら、契約や増設・変更の手続きはクラウドサービスに近い形で進められるため、オンプレミスの利便性とクラウドの手軽さを両立できる点が特長です。
そのため、自社サーバーで利用しているライセンスを、そのままベアメタルサーバーで継続利用することも可能です。
自社でサーバーを購入・保有する場合と異なり、初期の大きな設備投資や、今回取り上げているような調達難のリスクを気にすることなく、必要な物理サーバーリソースを利用できます。
物理サーバーを月額定額でクラウド利用できる仕組み
KAGOYA FLEXでは、CPU・メモリー・ストレージなどをお客様の用途に応じて選択でき、高い処理速度が求められるビッグデータ解析や、高負荷なシステムの運用基盤としても利用されています。物理サーバーを自社で購入するのではなく、月額定額のサービスとして利用する形態のため、自社で在庫や納期を管理する必要がありません。
この「所有せず利用する」という仕組みそのものが、今回のようなサーバー調達難の局面において、ひとつのリスクヘッジになります。
在庫を保有しているため、価格高騰・納期遅延の影響を受けにくい
KAGOYA FLEXのベアメタルサーバーは、サービスとして提供するための物理サーバーの在庫をあらかじめ保有しています。そのため、自社で個別に部材を調達し、組み上げてから納品するケースと比べて、契約から利用開始までの期間を短縮しやすいという特長があります。
「サーバーを発注したものの、いつ届くか分からない」という不確実性を避けたい企業にとって、在庫を確保している事業者のサービスを利用するという選択肢は、調達難時代における現実的な代替策のひとつになり得ます。
※在庫状況は変動するため、ご希望の構成をご提供できない場合があります。お急ぎの場合は事前にお問い合わせください。
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オンプレミスからの移行やライセンス制約のあるシステムにも対応可能
KAGOYA FLEXのベアメタルサーバーは物理専有環境であるため、パブリッククラウドへの移行が難しかった、ライセンス上物理サーバーへの紐づけが必要なパッケージソフトや、既存のオンプレミス環境をそのまま移行したい基幹系システムにも対応しやすいという特長があります。
「クラウド化はしたいが、パブリッククラウドには移行できない」という悩みを持つ企業にとって、オンプレミスの構成をそのまま維持しながらクラウドのようなメリットを得られる点は、大きな利点といえるでしょう。
耐震・免震・自家発電を備えた自社データセンターによる安定運用
KAGOYA FLEXは、けいはんな学研都市に立地する自社データセンターでサービスを提供しています。同データセンターは耐震・免震構造や自家発電機能を備えており、対災害性に優れた立地に位置しています。
サーバーの調達難に対応するだけでなく、災害時の事業継続性という観点からも、安定した基盤の上でシステムを運用できることは、企業にとって重要な安心材料となります。
まとめ
サーバーの価格高騰・納期遅延は、生成AI向けのメモリー需要拡大という構造的な要因によって引き起こされており、短期間で解消する見通しは立っていません。システムの更改・増設計画の遅延や、OSサポート終了までの移行間に合わないリスクなど、企業の事業運営に直接影響する課題も少なくありません。
既存サーバーの延命や発注の前倒し、パブリッククラウドへの移行など、企業がとれる対策にはそれぞれメリット・デメリットがあります。自社の状況に応じて複数の選択肢を組み合わせ、リスクを分散させておくことが重要です。
そのひとつの選択肢として、在庫を確保しやすく、オンプレミス相当の環境をそのままクラウド利用できるベアメタルサーバーも、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。









